第8回 「さっぱりのヒミツ」2001.02.06

 いやぁ、持つべきものは友ですね。わがへっぽこサイトに遊びに来てくれているKAZUさんが、ロバ耳第7回の「みかんネットの謎」をみごとに説明してくださいました。以下、へっぽこ掲示板からの引用です。(一部読みやすいように改行など変更いたしました)

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 石鹸とは高級脂肪酸のナトリウム塩の事ですが、水中で解離したナトリウムの部分に水道水中のアルミニウムイオンやカルシウムイオンとくっつくと水に不溶の金属セッケンなります。当然水に対する界面活性効果が無くなるので、泡も立たなくなる訳です。
 ところが、この性質のために、セッケンと水道水で身体を洗った後は、泡切れが良くさっぱりとした感触が得られるとの事です(ボディーソープは泡切れが悪い)。

 この金属セッケンの生成を防ぐために、カルシウムやマグネシウムと結合する性質のある「エデト酸」と言われる物質を添加してあるものも多いそうです。(ちなみに、我が家での使用品の成分表示を見たら、セッケンには未添加、ハンドソープには入ってました。)

 ネットに入れる効果としては
単純に小さくなっても滑らずに擦り易いこと、
表面の石鹸カスを削りとる力があること

 でしょう。

 また、ネット上では泡の立ち方が良いのは、ネット格子の空間より起泡に必要な空気の取り込みが効率的に行われるからだと思います。
 正に一石二鳥のアイデアですね!

 by KAZU 2001.2.5

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 ふんふんなるほど。こうなってくると、泡立ちのメカニズムってのも、ちょっと気になるなぁ。
 そういえばずぅっとやってないな、しゃぼん玉作り。

 てなわけで、

 ……これだけだと、あまりに他人の褌なので、一応へっぽこ用語解説をつけておきます。引用の嵐ですが。
 自らの理科知識を再確認……しなきゃよかったかなぁ……

★高級脂肪酸
 高級ってなによ。ゴージャスなのか? というのはマチガイ。
 化学用語で、炭素量が大きいものを指します。(逆に低級というのは、炭素量が少ないもののことを指します)
 というわけで、脂肪酸というのは、脂質を構成する分子のこと。
 その分子に含まれる炭素の量が大きいものが、高級脂肪酸に分類されるわけですな。ふむふむ。(高校の化学じゃここまでやらんかったぞい。確か)
 これがアルカリで加水分解する「鹸化(けんか)」という行程を経てから乾燥させたりいろいろして、わしらが見ている石鹸になるわけね。
 で、アルカリ剤として水酸化ナトリウム(いわゆる苛性ソーダ)を使うと、脂肪酸ナトリウム石鹸ができて、こっちは固体。水酸化カリウムを使うと、脂肪酸カリウム石鹸ができて、こっちは液体になると。ほほう。

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 ちなみに一般的な石鹸の製造方法には二種類あるそーです。
・炊き込み法あるいは窯焚き法(表記がいろいろある)
  古来から伝統的につくられてきた製法。
  動物あるいは植物由来の油脂(脂肪酸+グリセリン)に苛性ソーダと
  水を加え、加熱して鹸化させ、水分を蒸発させてつくる。
  さいごに食塩を加えて不純物をとりのぞく。
  (この食塩を加える方法を「塩析」という)
  だいぶ前に大流行した「廃油せっけん」はこの方法でつくってました。
  手作り石鹸を愛好する方々は、この方法をとっているようです。
  
・中和法
  
大量生産向きの方法
  油脂をあらかじめ脂肪酸とグリセリンに分けて精製しておく。
  そこに苛性ソーダを加えて鹸化させてできあがり。
  あらかじめ精製した原料でつくるので、
  品質が安定した純度の高い石鹸ができるのですが、
  肌に使うとつっぱりやすいので、固める前にグリセリンなどを添加して
  使い心地を調整しているそうです。

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★アルカリ
 :水に溶けたとき、水酸イオンを放出するもの
  新辞林では ……
アルカリ【(オランダ) alkali】〔もとアラビア語で「灰」の意〕〔化〕水に溶ける塩基の総称。特に,水酸化ナトリウム・水酸化カリウム・水酸化カルシウムなどのアルカリ金属・アルカリ土類金属の水酸化物。水溶液は赤色のリトマス試験紙を青色に変える。 とのこと。
 ではもう一発。
アルカリきんぞく【アルカリ金属】周期表上で 1 族に属する,リチウム・ナトリウム・カリウム・ルビジウム・セシウム・フランシウムの六つの金属元素の総称。銀白色で軟らかく,比重は小さい。電気的陽性・イオン化傾向とも最も強く,1 価の陽イオンになりやすい。水と反応して強塩基性の水酸化物を生じる。
 
ううう、わかったよーなわからんよーな。

★加水分解
 :水との反応によって、塩の一部がもとの酸や塩基にもどること。
 ……い、いかん、そろそろわけがわからなくなってきた。

★塩基
 :水に溶けて、水酸化物イオンを放出する物質
  ということで、塩基はアルカリ性を示すわけですな。

★塩化
 :塩素原子が、他の原子や分子にくっつくこと。
  食塩の主成分、塩化ナトリウムというのは、
  ナトリウム(Na)に塩素(Cl)がくっついたものですね。ふんふん。

★酸
 :水に溶けて、水素イオンを放出する物質
  またもや新辞林登場。 
さん【酸】
(1)すっぱいもの。すっぱい味。「―が強い夏みかん」
(2)〔化〕水に溶けたときに電離して,水素イオンを生じる物質。いわゆる酸性はこの水素イオンによる。酸味をもち,青色リトマス試験紙を赤色に変え,塩基と反応して塩と水を生じる。また,イオン化列で水素よりも前にある金属を溶かして塩をつくり水素ガスを発生する。酸はその電離度により,強酸と弱酸に区別される。現在では水溶液のみでなく,広範な化学反応を酸・塩基の立場で説明するために,酸を陽子供与体としたり,電子対受容体とする定義が用いられている。

ではこの反応はどういうことかしら。
さんか【酸化】
 ある物質が酸素と化合する反応,またはある物質から水素が奪われる反応。一般には原子・分子・イオンから電子が奪われる反応をいう。また,反応にあずかる各原子に対し一定の規則による酸化数を考え,酸化数の増大を酸化と考えることもできる。

★PH(ペーハー・水素イオン濃度)
 酸性・アルカリ性の計量単位。PH7で中性。それより低いものが酸性、高いものはアルカリ性となる。
 水中の水素イオン(H+)と水酸イオン(OH-)の濃度によって決定されるのね。
 ちなみに水は、H+とOH-が反応してH2Oになって生成されるわけですな。
 これが中和反応。
 で、アルカリと酸を混ぜると中和されるわけ。(必ずしも水が生成されるわけではないが)

 ……わたくしが悪うございました。小学校からやりなおします。あああ。
 というか、なんか「超訳」やってる気になってきた。

★エデト酸およびエデト酸塩類(表示指定成分)
 :変質防止剤や保存料、金属封鎖材(KAZUさんの文章中にあった、金属セッケンの生成を防ぐ目的ですね)として使われる。
  皮膚、粘膜を刺激、喘息、皮膚発疹、
  飲み下すと胃障害、腎臓障害、血圧降下、カルシウム欠乏症をひきおこす。
 ※誤飲に注意しましょう。
  シャンプーが目に入ると痛いのは、この成分の刺激もあるからなのかな。

 てなわけで、最初から最後まで他人の褌借りまくってる「ロバ耳」でした。今回に限ったことじゃないけど。
 それではまた次回。テーマは未定だよ。

今回の参考リンク

ICO フィットネスクラブ・オンラインレクチャールーム

生活と科学社脂肪酸組成と石鹸の性質

富山県立大門高等学校What is KAGAKU-KETSUGO

林正幸と主万子のページ8.酸と塩基

タクミナへようこそ!流体用語辞典

化学ノート

YAHOO! 辞書検索(新辞林とデイリーコンサイスだけど)

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