厳冬の二月、その輪郭はきっぱりと冷たい空気の中に冴えざえと立ち、身を切る冷たさの風の中を、生命なきものであるかのように梢を揺らしていた桜の樹。 というわけで、桜といったら桜餅です。(強引)ほのかな紅色に色付けられた生地で餡をくるみ、塩漬けにした桜葉で巻いた、まさに季節限定お菓子。 しかし、あの桜葉が苦手、という人は結構多いのですね。
ワタシは食べる派。ただし軸は残します。喉に引っ掛かるから。あの塩気と桜葉の香気が、甘い餡にマッチするからこそ、桜餅なのだ〜〜! と思うのですわ。はがして食べるのは、香りが薄くなるからなぁ……。 ちなみに、餅米のようなもので餡をくるんだのは「道明寺(どうみょうじ)」、クレープのような生地でくるむのは「長命寺(ちょうめいじ)」と申します。関西圏は「道明寺」、関東圏は「長命寺」と相場がきまっていたそうですが、今ではどちらも好みのままに選べますね。私は「長命寺」がスキですが。歴史的には「長命寺」のほうがオリジナルで、「道明寺」は、「長命寺」の皮を変えた派生商品、ということらしいです。 「道明寺」の由来は、その素材から。大阪にあった「道明寺」の尼僧が発明したとされる、餅米を水に浸してから蒸して、さらに乾燥させたのちに粗く砕いた「道明寺粉」を使う所からきています。もちもちぷにぷにの食感です。 「長命寺」の由来は、東京は向島の、隅田川川岸にある長命寺から。江戸時代に、この寺の門番さんが、大量に落ちる桜の葉の処分に手を焼いて考え出したのが「長命寺桜餅」のはじまりだとか。 本家道明寺の桜餅は、いまでもちゃぁんと手に入ります。長命寺の境内にある和菓子屋さんに行ってごらんなさいまし。ですが、桜の季節には予約でいっぱいで、店頭に並ぶ数は少ないようです。行列覚悟ですな。 |
日本舞踊および歌舞伎中心のサイトで、名前通り桜がいっぱい。 日本の伝統芸能に関する含蓄も深いです。 中でも「吉野花壇」内のリンクは、文化の薫り高く、オススメ。 |