第17回 「 ルネサンスの偉業 」2001.09.03

 いやー久しぶりのロバ耳です。
 さいしょは日記代わりにしようと思ってたのに、ヘタに調べものをしようとしたから路線が大幅にズレちまったのよね。てなわけで今回から、日記形式にややシフティングしようかと思います。続くかどうかは知らん。

 そんなわけで、先日WEBの懸賞で「ダ・ヴィンチとルネサンスの発明家展」のチケットが当たったので、乗鞍が終わってほっとしているmistyを引っぱり出して、はるばるお台場まで行って参りました。

 展示が行われているのは、今年オープンしたばかりの「日本科学未来館」です。ゆりかもめに乗り、「テレコムセンター」駅で降りて歩くこと数分、ジャスト10時に会場へ着くことができました。
 会場には、親子連れをはじめ、観光ツアーで来たらしい一群などがいましたが、やはり「地味」な展示であるせいか、人でいっぱい、という印象はありませんでした。

 展示の内容は、かの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチが生きた時代、イタリアルネサンス期に建造されたフィレンツェの寺院建築の技術解説に始まりました。

 技術者たちによって着想され、実用化された数々の建設機械が、模型とスケッチと、実際に触って動かせるミニチュアとで解説されていました。内部に柱構造を持たないドームの丸屋根を、いかにして組み上げたのか、またその技術を支えた道具とは、どんなものであったのか。解説VTRを見ればみるほど、その発想と技術力とに感嘆しました。

 それから、ルネサンス以前のシエナ地方で発達した、水を利用したテクノロジーも、お決まりの感想ですが、「よくもまぁこんな事を考え付いたな」と感嘆しました。
 水や動物、あるいは人によって生まれる動力を、歯車やロープで伝達して、粉をひいたり、河川の泥をかきだしたり、重いものを持ち上げたりと、実に良く考えられています。

 あたりまえのようにサイエンスとテクノロジーの産物に囲まれて、その原理を知らなくてもちっとも不便ではない現代と比べると、かの時代は、ものの成り立ち、ものの仕組み、すべてが謎に満ちていたことでしょう。(もちろん、現代でも世界は謎に満ちていることにはかわりないのですが)

 そしていよいよ、私が最も見たかった「ダ・ヴィンチ」のコーナーです。芸術家であり技術者であり、科学者の先駆でもあった彼の、あまりにも多大で偉大な業績を、ほんの一端ではありますが垣間見ることが出来ました。

 ボールベアリングや、重力を利用した振り子のシステム、ばねのメカニズムなどなど、こちらも模型とスケッチ、実際に動かせるミニチュアとで展示されていました。そして天井には、かの有名な人力飛行翼(はばたくタイプ)の実物大模型がぶらさがっていました。

 数葉ではありましたが、彼が「人体」と「機械」との共通点を探究したスケッチも展示され、骨格と筋肉の関係を分析した解剖図には、頭蓋骨と頚椎との連続を、まるで機械の一部品であるかのようにとらえたカットが残されていました。

 展示を見にきた家族連れからは「気持ちわる〜い」なんて声も聞こえてきましたが、面白いことに、たいていそういう声を発するのは女性(母親)で、子供に「気持ち悪いねぇ」「よく解剖なんてできるねぇ」「気持ち悪いからもう行こう」などと話しかけているんですね。男性(父親)はというと、「人間の体は、こういう作りになってるってことを調べたんだ」「おまえの手も、腕も、こういう骨と筋肉で出来てるんだよ」と語っていることが多かったです。

 なんとなく、「女性はテクノロジーや論理的思考が苦手」「男性はその逆」という画一的なフレーズが思い浮かんでしまいましたが、その根本にはやはり、幼少期に「女性はそんなモノを見て喜ぶべきではない」とか「親が気持ち悪いって言ってたから気持ち悪いのだ」という刷り込みがなされてしまうからなのかなぁと思ってしまったできごとでした。

 出口付近には、ダ・ヴィンチが残した膨大なメモのほんの一部分(複製品)も展示され、物体の影の研究や、言語学についての書き込み、人体のスケッチなどなど、とどまることを知らない彼のひらめきの一端に触れられました。

 mistyは途中から「わかんないよー」「歯車ばっかりだよー」を連発してましたが、そーいう時には「なんだかわからんがとにかくすごい」と思えばいいのだ、と、むりやり会場を引っぱり回しておりました。「ほうら、車のジャッキの原型だって。こんな時代にもう考え付いてたんだねぇ」とか、「ダヴィンチはベアリングも考えてたんだね。すごいねぇ」などとなだめすかしたのですが、「ダヴィンチはアタマよすぎてオレにはわかんね」と思考停止されてしまいました。嗚呼。

 会場の外で図録を買って、ミュージアムショップで(先日打ち上げに成功したばかりの)H2-Aのキーホルダーを買ったり、『大人の科学』を手にとっては「いらない」とmistyに首を振られたり、『ロボットアーム組立キット』を指差しては『置けない』と諌められたり、『結晶観察キット』を...(以下略)

 今回は、展示会への入場チケットのみだったので、他のフロアを見ることはできませんでしたが、次回はぜひ全館制覇したいものだと考えています。mistyは、「オレはもういい、オレが峠に行ってる間に、見にいきなさい」と言っておりますが、どうにかしてこやつに「わぁ面白いねぇ」という台詞を吐かせたいと思っているので、だれか「科学が苦手な人間を、科学好きにさせる」改善策を知っていたら教えて下さい。もうオトナになっちまったからムリ?

今回の参考リンク

ダ・ヴィンチとルネサンスの発明家展
日経新聞社のサイト。概略の説明だけですが。

日本科学未来館
かの毛利衛氏が館長をつとめる、サイエンスの殿堂。
しかし、ミュージアムショップで「トルマリンゴ」を売っているのがわけわからん..
あんなモノを、仮にも「日本科学未来館」で売っていいのだろうか?

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