第21回 「 匂い 」2001.09.07

 ジロ・デ・イタリア観戦ツアーレポートにも書いたのですが、雨の降ってくる直前には、特有の匂いがします。夏になると、アスファルトやコンクリートに打ち水をするでしょう。あの時の匂いがただよって来ますよね?

 でも、mistyは「わかんない」らしいのです。私にとって、「打ち水の匂い」「雨の降る前の匂い」は、好きな匂いランキングのかなり上位に位置するのに。

 試しにGoogleで「雨の匂い」と検索をかけたら、かなりヒットしましたので、どうやらこれは私の「幻臭」ではないようです。

 湿度が高くなると、匂いを感じる細胞の感度がよくなるらしいです。それで、雨が降る前〜すなわち、湿度が高くなっている状態では、ふだん気がつかなかったいろいろなにおいが混じりあって、「雨の匂い」をつくりだすのかもしれませんね。

 ところで、匂いを感じる神経は、その名もずばり「嗅脳」という部分につながっています。脳のなかでも古い脳「古皮質」とよばれる部分であり、「大脳辺縁系」とよばれる領域の一部分です。この「大脳辺縁系」は本能的な行動や、反射的な行動、記憶などにかかわりが深いのだそうで。

 反対に新皮質と呼ばれる部分は、理性的な行動、本能を抑え込む行動とかかわりが深く、いわゆる五感とよばれるうちの、嗅覚を除いた4つ〜視覚・聴覚・触覚・味覚〜は、こちらの新皮質につながっているのだそうです。

 匂いに連鎖して、記憶がよみがえってくるという経験は、誰しもあると思います。「病院の匂い」で、痛かった予防注射のことが思い浮かぶとか、コーヒーの匂いをかぐと、通い詰めた喫茶店を思い出すとか、ラベンダーの香りをかぐとタイムスリップ...おっとこれは違った。(年がバレる?)

 こんな「記憶との連鎖」も、嗅覚神経が古皮質と直接つながっているからこそ起こりうるのだそうです。

 私にとっては、自動車整備工場などから漂う、金属粉と機械油の混じった匂いが、強烈に記憶をよびさます匂いのひとつになっています。なにしろ、生まれた時からその匂いの中で生活していたのですから。今でもそういった場所を通る時には、なんともいえない懐かしい感情が沸き起こってきます。

 みなさんの「懐かしい匂い」はなんでしょうか、と尋ねたら、きっと、ひとりひとり違った答えが出てくるのでしょう。

 さあ、こんど雨が降りそうな日があったら、ふだんより注意して空気の匂いを嗅いでみてください。きっと「雨の匂い」がしますから。


 全く本文と関係ない大脱線:昨日NHKでやってた「テルミン奏者(名前忘れた)」の特集はおもしろかったな。一番おもしろそうなところは見逃したけど。いっぺん弾いてみたい楽器のひとつです。テルミン演奏のCDは2枚ほど持ってたけど、もう売っちゃいました。

今回の参考リンク

静岡県立大学薬学部薬理学教室中枢神経系
テキスト多し。
トップから行こうと思ったら迷っちまったので、ファイルに直リンクします。
もしかして、公開前なのかな。

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