第31回 「 食べ過ぎ注意 」2001.09.21

 またしても通勤路&毒ネタだが、先週あたりから、通勤路いちめんにギンナンの実が落ちるようになってきた。正直言って、くさい。風情を感じる暇もない。

 しかたないので気にしないようにして(ヲイ)どかどか歩いていたら、バスに乗ったとたん自分の足元がくさいのには参った。まあ、くさい臭いを放っているのが自分の靴だけではなかったのが救いだが、運転手さんはさぞかしつらかっただろう。その後の掃除も...

 ギンナンの実は、知ってのとおり茶碗蒸しに入っているあのヒスイ色の実だが、あれを食べるためには、種の表面についている果肉をとり去り、殻を割らねばならない。

 しかしその果肉がくさいのだ。misty_rainなどは「う●こくさい」と言ってはばからない。実際、そういう臭いだし。離れていてもギンナンの実が落ちているところはすぐわかる。それが車に踏まれたりして道路一面に広がっているときたら、もうたまったものではない。

 なので、食用にするためには、拾った果実を土に埋めるか水に漬け、果肉の部分をすっかり腐らせてからではないとどうにもならないという。(銀杏果肉除去装置なんかも開発されてるらしいが、ペイできるのかしら)

 しかも、果肉を直接触ると皮膚炎を起こしてしまうというのだから、なかなかスジガネ入りの植物だ。

 イチョウは中生代からの長い歴史を持つ植物だが、氷河期の終わりには中国の南部にしか生き残っていなかったらしい。しかしそこから株が増えていき、日本にも渡来して定着したようだ。

 当然、ヨーロッパにはイチョウは生えていない。現在植えられているイチョウは、日本から送ったものが栽培されて増えたものだそうだ。

 このイチョウ、学名の綴りは「ginkgo」と書く。なんでも、元禄初期に日本に来たドイツ人医師ケンペル氏がヨーロッパにイチョウを紹介する際に、「銀杏」の音読み「ギンキョウ-ginkio」を間違って「ginkjo」と書き写したものが、さらに著作の出版の際に「ginkgo」と誤植されてしまい、そのまま学名として定着してしまったらしい。

 「こりゃおかしいぞ」と発覚したときにはすでに遅く、膨大な数の論文やら出版図書やらに記載されてしまったため、もはや訂正もできなくなってしまったのだろうか。ああ恐ろしい誤植。でもここまでくると御立派、かも。

 イチョウ葉エキスは、サプリメントや医薬品の部門で人気があるが、ギンナンは食い過ぎると中毒する。死亡率は三割だという、かなり強力な毒だ。

 煮たり焼いたりして加熱すればよいようだが、それでもあまりにも食べ過ぎるとよくないようだ。小児などは、数粒でも中毒症状を起こし、ひどい場合には死に至ることもあるという。

 しかし...私の小学生時代、冬の風物詩と言えば、家の石油ストーブの上でほっくり焼かれたギンナンを食べることだったのだが...でも、よく思い出してみると、「子供は5こまで!」と制限付きだった覚えがある。やはりギンナンは「オトナ」の食べ物なのだろう。

 ギンナンは、コドモのうちは歳の数だけにしておきましょう。オトナになっても20個以内が無難だそうです。でも20個も食べる? 酒のツマミに食べちゃうのかなぁ?

関連リンク

国営昭和記念公園ホームページ

埼玉県立自然史博物館〜イチョウのことあれこれ

家畜中毒情報〜銀杏中毒について

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