せめて、と。 2008.2.28

あなたの匂いがするものに
触れていたい
あなたじゃなくてもいいから
せめて、

もう、あなたには届かないだろうと
あきらめてうつむいて
それなのに、また、
手を伸ばしてしまう
せめて、
と。



後回し 2008.2.28

後回しにすると
後で面倒くさい

わかってる
わかってはいるけれど
やっぱり後回しにしてしまう



他人 2008.2.28

気安く質問しないでよ
あなたに答える義理はないわ



希少価値 2008.2.28

八百屋なんだから
売れない野菜も売りなよ

食べたい人だって
いるんだから・・



待ってる 2008.2.28

届かないものが好き
手に入らないものが愛しい

月を見て月に行きたいと思うように
あなたを見てあなたになりたいと思うように

切なさに瞳を潤ませて
この場所で・・
はじまり、

おわりを待ってる



たからもの 2008.2.28

不思議と今は触れたくない
触れられたくない

誰にも・・

私を私だけのものとして
大したこともないオモチャを
くるくるとラッピングして

開けるふりをして気を持たせて
暇をもてあましていたい



おんな 2008.2.28

誠意を見せてくれないと・・
そう男に言われてしまう
私は本当に女だろうか。。



幸せという名の魔法 2008.2.28

幸せという言葉でくくるには
世界は広すぎて
私は小さすぎて
入らない

世界は臆病で
私は傲慢で
限がない

人はひとりで生まれてきたから
心は悲しく生まれてきたから

幸せという名の魔法に
我を忘れる夢を見る



情熱 2008.2.24

情熱を探してる
胸を突き破るように溢れ出す
あの熱きもの・・

知らぬ間に消えたのか
それとも
息をひそめているだけか

情熱を探してる
己の胸を貫いた雷が
燃えさかる痛みにも気付かずに
乱舞するほどの
情熱を



ひとり 2008.2.24

ひとりだということの
恐怖
私をおそい
くるりと包み
身動きひとつ出来なくなる

息をひそめ
つぶやく
心に
どうすればいいのかと
問う

ひとりだということの
暗闇
恐ろしさの中にある静けさに
静けさの中の優しさに
諦めたように身を浸す

しなびた茄子のように
ぐったりと
冷たい床に横たわる



ロマンチック 2008.2.24

死んだふりをする
それは
とてもロマンチック

玄関で
お風呂の中で
押入れの中で

死んだふりをする

あなたは泣くかしら
私はそれを見て
口を曲げて笑うでしょうね

目を閉じて
耳を塞ぎ
何もないけれど
全てを見てしまった気になって

死んだふり

とてもロマンチックな
死・・



花びらの下で 2008.2.24

誰かの厭らしい視線が
薄汚い言葉が
私の白い胸を
チクチクと刺し続け
ぷちぷちと小さな赤い風船が
浮かび上がる

ティッシュの先をこよりにして
風船を壊せば
イチゴミルクのように
赤く染まる

いつまで続ければいいのだろう
いつまで繰り返せばいいのだろう

イチゴミルクの花畑で
不敵に笑おうか・・

痛みなど狂気の花びらに
埋めてしまおうか・・



うずき 2008.2.24

肉体を恨めしく感じ
闇雲に傷つけてしまいたくなる
この肉の塊はなんなのか
ただのでくの坊なのか
この魂の在りかはどこなのか
ただの空虚なのか
深く深く抉れば
己の何かがあらわれるのか

手の中の骨が
私の中の瞳が

探してくれと
呻きだす
出してくれと
疼きだす



人は・・ 2008.2.24

人は幸せだというのでしょうか
人は不幸だというのでしょうか
女なのに、女だから、というのでしょうか

人は優しいというのでしょうか
人は冷たいというのでしょうか
強い女だと、寂しい女だというのでしょうか

そんな風に私を括るのは
やめてください
好き勝手に批評するのは
やめてください

誰もあなたに分析など
頼んではいないのです

手探りで生きている
自信など微塵もない
私を吊し上げてあれこれと
好き勝手にいうのは
やめてください

なにもかもが自由であることを望みながら
自らをはがねで巻きつけてしまう
愚かな私をあと少し
そっとしておいてください



鍵 2008.2.24

喉から手が出るくらい
欲しいと思いながら
ドアに鍵を掛けてしまうのは
なぜなのか・・

ふたりになりたいのか
ひとりでいたいのか

わからないまま

死んでしまいそう



ただ 2008.2.24

生きていることが
幸せか
生きているだけが
不幸か

疑問から
逃げられるのか
誰が先に追いつかれるのか

何かしようと
何もしまいと
違いなどないのなら

ただ死ぬから
幸せか
ただ死ぬから
不幸か



恋をしているの 2008.2.15

誰かに恋をしているの?
私が付け入る隙はないの?
あなたが犬なら
抱いて逃げるのに
手編みのマフラーを巻き付けて
散歩するのに

切ない恋をしているの?
痛々しくて
共感して
口説く気にもなれないよ

慰めてあげるから話してみれば?
下心なしにそばにいて
ただ、あたためてあげようか



さよならのキス 2008.2.15

久しぶりに会った
好きなひとと
笑顔で話して
キスをして
別れた

もうすこし一緒にいたいのか
帰りたいのかも
わからなくなってしまった
でも、せめて触れたくて
何かを確かめたくて

さよならのキスをした



憧憬 2008.2.15

あなたはなんでも持っているね
才能も
それに見合った評価も
盲目的な羨望も
なにもかも手にしているように見えるね

わたし
あなたが羨ましいのかな?

あなたになりたい・・
そう思ってしまう恋はつらいな

一生追いつくことのできない
敵うはずもない戦いを
ひとりでしているようなもの

あなたの弱さに触れたら
惚れてしまうのに
触れたいんだから
どうしようもない



すごいんだよ 2008.2.15

女の子なんだから
なんにもできなくても
すごいんだよ

胸に抱けば
それだけで
幸福に窒息するでしょう

柔らかな谷間で
昇天するのも夢じゃないわよ



私を待ってて 2008.2.15

私が私を探してる
でも、まだ会えないみたいだ
私が私を忘れてきた
どこか、気に入らないみたいだ

あなたがやってきて
私を私に見せてくれるけど
今は直視するのが辛いから
あなたのことも捨ててしまった

私が私を探してる
でも、まだ違うみたいだ
私が私を愛すまで
どうか、もう少し待ってて



幸せじゃないか 2008.2.1

男を信じ
未来を信じ
自分を信じ
才能を信じ

どうせなら
信じるものがたくさんの方が
楽しいかもしれない
と、ふと思う

あなたを信じ
裏切られても
風に飛ばして忘れてしまう

そして
また信じて
死ねれば
幸せじゃないか



友達 2008.2.1

別れてしまうのは寂しいから
ずっと友達でいましょう

離れていても近くみたいに
友達でいましょう



まだ、遠い 2008.2.1

ひとりだな
自ら進んで

なんでだろう?
いつも、いつも

ひとりだということを
面白がるには

今日の月はまだ浅い
満月にはまだ遠い



同胞 2008.2.1

友達の彼氏から
電話が掛かって来たりする

そんなに好きなら離さなければよかったのにと思う
でも、言わない

逃げるものを追ってばかりで
人は笑っちゃうほど愚かで

それでも許してしまうのは
愛しく思ってしまうのは

同胞を守りたい
情なのか
愛なのか・・



改ざん 2008.2.1

誰かを恨んでいたことも
あった気がする
今では忘れてしまったけれど・・

忘れたくて忘れてしまった
色んなこと

生きて行くためとはいえ
捨て過ぎたかもと
恐くなる

心が私を助けようと
記憶を改ざんし続ける



化石になる 2008.2.1

会おうとすれば会えるのに
会わないのはなんでだろう
しようとすればできるのに
しないのはなんでだろう

よくわからない
でも、私はたぶん
ここから動きたくないらしい

洪水がきて
村ごと沈む
偏屈な老婆みたいに

いつの日か化石になるなら
それもまたいいかもね



いいというのだろう 2008.2.1

人はみな死ぬけれど
それはわかっているけれど
だからといって
どう生きれば
いいというのだろう





Top of Page

はじめまして    詩&写真  utatane日記  ひとりごと    散文  童話  リンク  BBS