ナチスドイツ強制労働補償 「記憶、責任そして未来」財団が支払い終了 07.06

ナチス時代のドイツ強制労働について「歴史的・倫理的責任を示し、従来までの補償に関する法制に
人道的援助を加えて補完する」趣旨(立法による)
2000年 政府が50億マルク、ドイツ企業が50億マルクを出す「基金」設立、総額100億マルク(約5042億円)

    ●2007年6月、補償支払いが終了したと発表──報道から
    ●記憶、責任そして未来 成立過程
    ●ドイツの戦後処理(補償)

 

<ナチス強制労働>被害者に補償金を完済 約7000億円
6月12日 毎日新聞2007より
 
 【ベルリン小谷守彦】ドイツ旧ナチス時代の強制労働被害者への補償を目的とする財団「記憶・責任・未来」(本部ベルリン)は11日、被害者に支払いを予定していた約43億7300万ユーロ(約7104億円)をすべて払い終えたと発表した。00年8月設立の同財団は、翌年から旧東欧を中心に生存する強制労働の被害者に補償金を支払ってきた。補償金を受け取ったのは100カ国以上の約176万5000人に及ぶ。受給を歓迎する声がある一方で「支給が遅すぎた」との批判もある。

 補償は正式な損害賠償ではなく、道義的なものとされ、1人あたりの補償額は被害の種類に従って7500〜2500ユーロに固定された。最高額の7500ユーロは、強制収容所で労働に従事させられた人々が対象となった。
 連邦議会と連邦参議院は00年7月、財団設立法を可決。90年代後半に、強制労働に関与したドイツ企業への集団訴訟が相次いだことが財団発足のきっかけだった。補償金の半分はドイツ政府が負担し、残りは被害者を働かせていたフォルクスワーゲン社やバイエル社など約6500の企業が負担した。
 補償金の完済は11日、財団理事会に報告された。12日にはベルリンの大統領府でケーラー大統領やメルケル首相が出席して完済を記念する式典が行われる。
 

ナチス強制労働被害者への補償完了=支払い総額は7200億円に−独
6月16日 時事通信より
 【ベルリン16日時事】ナチス・ドイツによって強制労働に従事させられていた被害者への補償が、このほど完了した。対象者は100カ国以上の約170万人におよび、支払総額は約44億ユーロ(約7200億円)に上る。
 ナチスは第2次大戦中、労働力確保のためにポーランドや旧ソ連地域などから若者や女性約1000万人を集め、工場のほか農地や病院などで働かせた。
 このため、独政府と産業界が2000年に折半出資して設立した「記憶・責任・未来財団」が、約7年にわたり補償活動を続けていた。補償金は被害者に直接ではなくユダヤ人団体などを通じ、1人当たり2556〜7669ユーロ(約42万〜126万円)が支払われた。
 支払い完了の記念式典で、ケーラー独大統領は「犯罪行為の被害者に、金銭で真に償うことはできない」とする一方、「強制労働から最終的に多くのドイツ人が利益を得た」と述べ、国全体で罪を償う姿勢を強調した。 
 

ナチス時代の補償完済 独財団
6月14日 産経新聞より
 ナチス・ドイツ時代の強制労働者たちへの補償を進めてきたドイツの財団「追憶と責任、そして未来」はこのほど支払いを終了、12日、ベルリンの大統領府で任務終了を記念する式典を行った。
 補償対象者は、ユダヤ人やポーランド人の生存者やその遺族ら世界98カ国の約170万人。補償金は1人当たり2500ユーロ(約40万円)〜7500ユーロ(約120万円)、総額で44億ユーロ(約7100億円)が支払われた。
 メルケル首相と式典に出席したケーラー大統領は「(補償は)平和と和解に向けた旅の始まりに過ぎない」と述べ、ドイツは過去の罪を永遠に償うとの姿勢を強調した。(ベルリン 黒沢潤)