Sacred Music


BGM is "A rose has sprung from a sweet root" by M. Praetorius.




*CD番号は私が買ったときのものです。購入される場合は必ずご自分でチェックしてください。


■ブリテン:キャロルの祭典/ブルックナー:モテット集

(XCD-007)

 アルバムのタイトルは
「ウィーン少年合唱団: クリスマス・キャロル」となっているが,このアルバムの中心となっているのは20世紀英国を代表する作曲家ベンジャミン・ブリテンが作曲した女声ソロと合唱のためのクリスマス典礼曲「キャロルの祭典」作品28である。この曲は「入堂」に始まり「退堂」に終わる全12曲で構成され,これら2曲に中世のグレゴリオ聖歌,他の曲にも14〜16世紀の古い詩が用いられている。ブリテンと言うとオペラ「ピーター・グライムズ」や「戦争レクイエム」などの重い大作が代表作として思い出されるが,「キャロルの祭典」は演奏時間も20分あまり,美しい曲想が耳に優しい小品である。英国民謡風の曲もある。短いけれども「子守歌」や「春のキャロル」の美しさは特筆もの。ハープで演奏される「間奏曲」も素敵だ。本来は女声で歌われる曲を世界最高の少年合唱団であるウィーン少年合唱団がいつもながら一点の曇りもない至純のハーモニーで聴かせる。「キャロルの祭典」の後に収録された(大人の合唱も加わった)ブルックナーのモテット集もハーモニーがとても美しい。地味な曲ばかりだが心が洗われる。


■M.A.シャルパンティエ:ノエルとクリスマス・モテット 第2集

(NAXOS 8.557036)

 先に出た「ノエルとクリスマス・モテット」 に続く第2集。シャルパンティエは自ら魅力的なメロディーをつくるのが得意なだけでなく,フランス伝来のポピュラーな民謡やキャロルを使って,一曲仕立てるのが実にうまい。独唱,合唱に美しい旋律をたっぷりと歌わせる一方で,声にからむヴァイオリンや木管のオブリガートを要所要所で使うことによって,ハッとする効果をあげている。声楽と器楽の両方の扱いに長けた作曲家ということでは,バロック音楽界全体を見回しても五本の指に入るのではないだろうか。偉大なJ・S・バッハにだって負けてはいない。フランス・バロックにはクープランのようなもっと有名な大作曲家もいたけれども,親しみやすく楽しい音楽をたくさんつくったという点では,シャルパンティエの方が上だろう。少なくとも,彼の音楽を聴いて晦渋だとかつまらないとか思ったことは一度もない。この「ノエルとクリスマス・モテット 第2集」でも,そうしたシャルパンティエの音楽のよさが存分に味わえる。
 まずは,フランス伝来の古いキャロル「"Un Flambeau, Jeanette, Isabelle"(松明をもって,ジャネット,イザベル)」のメロディーを使ったノエルを聴いてみよう。(1)独唱とオルガン,(2)合唱と器楽合奏,(3)器楽合奏のみという異なる編成での三曲が収録されているのが興味深い。どの曲でも素朴な民謡が芸術的香気の高い曲に生まれ変わっているのはさすがシャルパンティエである。このアルバムのメイン・プログラムは,「天使たちとユダヤの羊飼いたちとの対話」と「われらの主イエス・キリストの降誕をたたえる歌」の2曲。どちらも上にあげたシャルパンティエの特長がよく出ている曲で,聴く者を一時幸せな気分にしてくれる。



■M.A.シャルパンティエ:真夜中のミサ

(GOTHIC G49077)

 1曲1曲の短いキャロルを別にすれば,バロック期に作られたクリスマスの教会音楽ではドイツが断然強い。バッハやその先輩であるシュッツがすばらしい「クリスマス・オラトリオ」 を残しているのはご存知の通り。さらに,バッハにはクリスマス用の「マニフィカート」やカンタータもあるし,英語歌詞の「メサイア」を書いたヘンデルもドイツ人である。でも,クリスマスの教会音楽がドイツ物だけというのは淋しい。ぜひ一度聴いていただきたいのは,フランス・バロック期の作曲家M.A.シャルパンティエが,真夜中に行うクリスマス・ミサ用に書いた「真夜中のミサ」である。この曲,私自身はシュッツの「クリスマス・オラトリオ」やバッハの「マニフィカート」にも決して引けを取らない名作だと信じている。ア・カペラで歌われる古い時代のチャントを挟んで,当時フランスで流行したノエル(イギリスのキャロルに相当)の素材が巧みに使われ,いかにもクリスマスといった感じの牧歌的で美しいメロディーが次から次へと合唱や重唱に出てきて,聴く者を魅了する。とりわけ牧歌的で美しい「アニュス・デイ(神の子羊)」のメロディーは,シャルパンティエ自身大のお気に入りだったと見えて,「ノエル:真夜中に彼らは起きた」 でも使っている。 加えて伴奏のリコーダーや弦の音色が何と美しいことだろう。たとえ素材がノエルや民謡であっても,シャルパンティエの音楽には一聴して彼の曲と分かる雅なメロディーラインと牧歌的な叙情がある。シャルパンティエは,ドイツ・バロックとは違うフランス・バロックの魅力そのものと言ってもよいのではなかろうか。
 このCDはアメリカのGOTHICレーベルのもので,演奏しているのは,ニューヨークの聖処女マリア教会に本拠を置くヴァージン・コンソート(指揮 キラー・ブラウン)。合唱・器楽とも技術が優秀で,シャルパンティエの美しいメロディーラインを生かしてよく歌っている。今年のクリスマスには,このニューヨークの教会で世界平和を祈念するミサが執り行われるに違いない。全然関係ないけど,私は芦屋に本店がある「アンリ・シャルパンティエ」のケーキやクッキーも好きです!


 
■Angels & Shepherds   A 17th Century Christmas

(CHANNEL CLASSICS CCS 15198)

 ドイツの作曲家の作品を中心に,17世紀ヨーロッパのクリスマス声楽曲などを収めたオムニバス・アルバム。プレトリウス,スウェーリンク,ブクステフーデ,J・S・バッハといったこの時代の有名な作曲家の作品のほかに,あまり名前を聞かない作曲家の作品も収められている。1曲1曲は短いのだが,実によい選曲とプログラムの配列で,ア・カペラと器楽伴奏つきの合唱曲,重唱曲,オルガン・ソロと編成も多彩。1曲目に鈴の音と一緒にそっと入ってくる「輝く暁の明星のいと美しきかな」(この曲はバッハの有名なカンタータBWV1の終曲コラールにも使われている)の合唱をまず聴いて引き込まれてしまう。最初から最後までこの時代の声楽曲のよさを堪能できるアルバムである。特筆すべきは,演奏しているオランダ・バッハ・ソサイエティーの合唱のハーモニーの美しさであろう。伴奏の器楽陣も優秀。さらに,CHANNEL CLASSICSの優秀な録音にも驚いた。残響が長過ぎることなく短か過ぎることなく,合唱やソロの澄んだ響きを見事にとらえている。メジャーレーベルのPHILLIPSもそうだが,オランダのレーベルは伝統的に録音技術が優れているのだろうか。



■J.S. バッハ:「マニフィカート」BWV243/カンタータ「もろびとよ歓呼して神を迎えよ」BWV51

(PHILIPS 411 458-2)

 「マニフィカート」BWV243は,バッハの全教会音楽の中でも最も明るく輝かしい作品の一つ。バッハ当時のルター派教会では,クリスマス,イースター,聖霊降臨祭の三大祝祭のときに,オーケストラ伴奏による大規模なマニフィカート(ラテン語歌詞)が演奏された。したがって,この曲はクリスマス時だけに演奏された曲とはいえないが,全曲の晴れやかな気分はまさにクリスマスにふさわしい。祝祭にふさわしくトランペットやティンパニが大活躍する。どのコラールやアリアも明快かつメロディアスで,無条件に楽しい。私は,フルートのオブリガートが美しい第9曲のアルトのアリアがしっとりしていて大好きである。
 一方「もろびとよ歓呼して神を迎えよ」BWV51はバッハのソプラノ・ソロ用の唯一のカンタータで,三位一体後第15日曜日用に書かれた。ソロ・トランペットが大活躍し,祝祭的な気分に満ちあふれている。クリスマスの曲ではないが,この曲もクリスマスに演奏されるにふさわしい曲だ。ソプラノには高度な技巧が要求されているので,イタリア・オペラのソプラノ・コロラトゥーラ・アリアを聴いている感じがする。このCDでは,若き日のエマ・カークビーが声質,技術共に彼女自身二度とは望めぬ名唱を聴かせる。



■J.S. バッハ:カンタータ「目覚めよと呼ぶ声聞こえ」BWV140/カンタータ「心と口と生活は」BWV147

(TERDEC 8.43203 ZK)

 元々待降節第4日曜日用カンタータとして作曲された「心と口と生活は」BWV147は,第6曲,第10曲のコラール「主よ,人の望みの喜びよ」がクリスマス時の定番曲としてとくに有名である。オルガン・ソロのほかに,往年の名ピアニスト,マイラ・ヘスがピアノ用に編曲した版でもよく弾かれる。しかし,あまりにも有名な「主よ,人の望みの喜びよ」だけを聴くのはもったいない。BWV147全曲が祝祭的雰囲気にあふれたバッハの全カンタータの中でも屈指の輝かしく楽しいカンタータであるから。トランペットの活躍がとくに目をひく。「目覚めよと呼ぶ声聞こえ」BWV140も,とくにクリスマス用のカンタータではないけれども,美しいアリア,コラールが次々に登場する名作中の名作。とくに,全曲のモチーフを奏でる伴奏にのって歌われる第4曲のテノール・アリア「シオンは物見らの歌うを聞けり」の弾むような伴奏のリズムとソロの高貴な美しさは一度聴くと忘れがたい。



■J.S. バッハ:カンタータ「いざ来ませ,異邦人の救い主よ」BWV61 他

(Po POCA-2028)

 バッハの待降節・降誕節用教会カンタータ集。「いざ来ませ,異邦人の救い主よ」BWV61の他に,「汝ら道を備え,大路をなおくせよ」BWV132と「キリスト者よ,この日を彫り刻め」BWV63が収められている。有名な「いざ来ませ,異邦人の救い主よ」では,3曲目のしみじみとしたテノールのアリアが素晴らしい。「汝ら道を備え,大路をなおくせよ」は,一層待降節にふさわしい明るい雰囲気に溢れた曲である。1曲目のオーボエの美しいオブリガードに彩られたソプラノのアリアや,5曲目のヴァイオリン・ソロが活躍するアルトのアリアが聴きどころ。「キリスト者よ,この日を彫り刻め」の冒頭の合唱は,トランペットが活躍する華やかなもので,「クリスマス・オラトリオ」の冒頭を想起させる。5曲目のアルトとテノールのアリアは恋愛オペラの二重唱のように明るく楽しい。アルヒーフ・レーベルの教会カンタータ・シリーズに数多くの名演を残したカール・リヒターの演奏は,すでに歴史的なものになろうとしている。アマチュアであるミュンヘン・バッハ合唱団の技術は決して現在のトップ・クラスの合唱団に比べて高いわけではないし,録音のせいかモダン楽器の弦の音も痩せがちである。しかし,緊張感溢れた鋭いリヒターの解釈と第一級の独唱陣の歌唱は,オリジナル楽器全盛の今日にあっても,今後二度と凌駕されないであろう不滅のスタンダードとなっている。



■J.S. バッハ:クリスマス・オラトリオ BWV248

(Po POCA 2138/9)

 バッハの「クリスマス・オラトリオ」は,古今の「クリスマス音楽」の最高峰として位置付けられているであろうが,そういうことを抜きにしても,数あるバッハの大作の中でも最も楽しく聴ける作品ではないか。「マタイ受難曲」や「ロ短調ミサ曲」を1年に何回も聴こうとは思わない(これらを聴くには聴く方にもそれなりの身構えがいる)が,「クリスマス・オラトリオ」だったら,別にクリスマスの時でなくとも,気楽に音楽の喜びに浸ることができる。ガーディナー指揮の演奏は,冒頭の合唱からして,歯切れよくダイナミックなもので,テンポ感がよい。独唱陣も充実している。2枚組だがあっという間に時間がたってしまう。



■ヘンデル:オラトリオ「メサイア」

(NAXOS 8.550667-668)

 ヘンデルの「メサイア」については今更言うことはあるまい。「第九」と並び日本でもクリスマスから年末にかけてよく演奏される定番である。「毎年毎年またメサイアか!」という批判もあるが,おめでたいクリスマスなのだから,あまり堅いことは言わずに大らかなヘンデルの音楽を楽しんだらどうだろう。有名な「ハレルヤ・コーラス」を聴くだけだっていいと思う。もちろん全曲を通して聴けば,他にも素晴らしい合唱やアリアはたくさんある。私自身が好きなところは,全曲のクライマックスである第2部最後の「ハレルヤ・コーラス」が力強く終わった直後に静かに始まる第3部冒頭のしみじみとした美しいソプラノ・アリア"I know that my Redeemer..."。スコラーズ・バロック・アンサンブルの演奏によるNAXOSの廉価盤は,英国滞在中の12月に「メサイア」が無性に聴きたくなり求めたもの。重くてずっしりとしたモダン楽器による「昔風」の演奏を求める人には不向きであるが,オリジナル楽器によるどちらかといえば軽い演奏が好きな人や,初めて(経済的に)全曲を聴いてみようという人にはお薦めできる。



■シュッツ:クリスマス・オラトリオ

(SONY CSCR 8385)

 シュッツというと,まじめで堅い宗教音楽オンリーの作曲家というイメージもあるが,「クリスマス・オラトリオ」は無条件で楽しめる音楽だ。独唱・合唱ともに明るく美しいメロディーがたくさん出てくる上に,器楽パートが充実しており声に美しい彩りを添えている。ベルニウス指揮の演奏は声・オケともにレベルが高く,「復活祭オラトリオ」も併せて収めているのが魅力である。



■M.A.シャルパンティエ:ノエルとクリスマス・モテット

(NAXOS 8.554514)

 まさに別世界の天から聴こえてくるような澄んだソロ・ソプラノの歌声と,やがてそれに絡む美しいヴァイオリン・オブリガード。このアルバム冒頭の「ノエル:真夜中に彼らは起きた」からすぐにフランス・バロック時代屈指のメロディー・メーカー,M.A.シャルパンティエの魅力にひき込まれてしまう人が多いに違いない。合唱曲,重唱曲,器楽による舞曲と多彩なプログラム。ソプラノ・リコーダーや鈴も大活躍してクリスマスの雰囲気を盛り上げる。選曲,演奏(オリジナル楽器),録音と三拍子そろったNAXOSの数多いクリスマスCDの中でも最高ランクの1枚。



■カルダーラ:クリスマス・カンタータ「平和の予言」

(NAXOS 8.553772)

 考えてみると,イタリアのクリスマス音楽といえば,「クリスマス・協奏曲集」以外これまであまり聴いた記憶がない。最も伝統的なカトリック国のイタリアでクリスマスに人々がキャロルを歌わないわけはないと思うのだが,イタリア語というのがCDのセールスの点では問題になっているのだろうか。このCDはバロック期にイタリアで活躍したカルダーラ(1670-1736)の珍しいクリスマス・カンタータを収めたもの。バロック期のローマでは,毎年クリスマス・イヴの夜にローマ法王列席のもとで新作のカンタータが演奏される習慣があり,このカンタータは1712年その名誉に与った。4人の独唱(ソプラノ2人,メゾ・ソプラノ1人,テノール1人)と器楽合奏という編成。いかにもイタリアらしいメロディアスなソロ・アリアと弾むような弦合奏が実に楽しい曲。約1時間があっという間にたってしまう。こういう隠れた素晴らしいクリスマス音楽を発掘してくるなんて,さすがはNAXOSと言いたくなる1枚。


■Advent at St Paul's

(HYPERION CDA66994)

 ロンドンのセント・ポール大聖堂の歴史は古く,7世紀の昔に遡るが,度重なる火災に見舞われ,最終的に再建されたのは1710年のことである。この大聖堂のシンボルは,有名な建築家クリストファー・レンの設計による高さ110mのドームで,これはローマのサン・ピエトロ大聖堂に次ぐ世界第2の規模を誇る。このCDはこの荘厳なセント・ポール大聖堂で毎年行われるAdvent Carol Service(待降節のキャロル礼拝)を再現したアルバムである。ライブ録音ではないが,セント・ポール大聖堂合唱団がセント・ポール大聖堂で歌った正真正銘のキャロル集なので,実際の礼拝そのままの雰囲気が存分に味わえる。巨大な聖堂の中での録音のためか,残響が長めで,いかにも教会での録音という感じもよい。HYPERIONに多くの録音を行っているセント・ポール大聖堂合唱団のコーラスは見事で,大人の団員の技術はもちろんのこと,少年合唱のハーモニーも本当にきれい。
 さて,肝心のプログラムだが,実にヴァライエティーに富んだ選曲で,中世の詠歌(Procession)から近現代英国の作曲家のキャロルまでたっぷり18曲が収められている。以下に主な収録曲の聴きどころを簡単に。スロヴェニアの作曲家ジェイコブ・ハンドル(1550-1591)による"Evve concipies"のゆったりとしたハーモニーの美しさ,セント・ポールの牧師だったマーチン・ピアソン(?1571-1651)の明るくリズミカルな"Blow out the trunpet in Sion",ダーラム大聖堂のオルガニストを務めるリチャード・ロイド(1933-)の"Drop down ye heavens"の中世と現代が入り混じったような天上的な響き,大作曲家ウィリアム・バード(?1543-1623)による"Laetentur coeli"のポリフォニーの美しさ,ハウエルズの弟子であるフィリップ・ウィルビー(1949-)が少年合唱のために書いた"Echo Carol"の澄んだ響き,トーマス・ウィールクス(1575-1623)の"Hosanna to the Son of David"の緊迫感溢れる掛け合い,現代の大作曲家ベンジャミン・ブリテン(1913-1976)の"A hymn of St Columba"のおもしろいオルガン・ペダルの動き,英国ルネサンスの大作曲家オルランド・ギボンズ(1583-1625)による"This is the record of John"の美しくちょっとロマンティックなカウンター・テナーのソロ,英国現代の大作曲家ジョン・ラター(1945-)による"Hymn to the Creator of Light"の不思議なエコーの響き,なじみ深い14世紀のトラディショナル・キャロル"Angelus ad virginem",チャペル・ロイヤルの侍従だったロバート・パーソンズ(1530-1570)の書いた"Ave Maria"のハーモニーの天国的美しさ,このアルバム中でおそらく最も一般に知られているであろう古いキャロル"O come, O come, Emmanuel(久しく待ちにし)"もポリフォニックなアレンジのせいか一味違った美しさ。そして,このアルバムの最後は,この「久しく待ちにし」の主題を基にしたアンドリュー・カーターの壮大なオルガン・ソロ変奏曲(1995年ヨーク・ミンスターで初演)で印象的に締めくくられる。



■グレゴリアン・チャント(グレゴリオ聖歌)クリスマス・スペシャル

(EMI TOCE8505)

 1994年にシロス修道合唱団の「グレゴリアン・チャント」が日本でも爆発的にヒットした。これは同シリーズの3枚目のアルバムとして発売されたものである。ただし,クリスマス・スペシャルといっても,直接クリスマスとは関係ない聖歌も多く含まれている。要はクリスマスの雰囲気ということか。実際には難しいだろうが,グレゴリオ聖歌の単純素朴な調べは,狭い部屋で聴くより,やはり大きな教会堂の中で聴きたいと思う。空間や残響も,この聖歌の大切な要素であると思うので。


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