Un Flambeau, Jeanette, Isabelle


 これはフランスの古いトラディショナル・キャロルで"Un Flambeau"とは英語で言うと,"Bring a torch"の意。「松明をもって,ジャネット,イザベル」という邦題で知られている。松明をもって誕生したばかりのイエス・キリストのもとへと走っていく二人の少女を描いた明るくリズミカルなキャロルである。各節の最後の語りかけるような部分はとてもロマンチック。ゆりかごで愛らしくすやすやと眠っているイエスの姿をこれだけ人間的に歌い上げたキャロルも珍しいだろう。古きよき時代の素朴で美しいフランスの農村のクリスマスの情景がオーバーラップしてくる。フランス語のキャロルということもあって,英国ではあまり歌われないようだが,「バトル−クリスマスを歌う」というクリスマス・アルバムでアメリカの名ソプラノ,キャスリーン・バトルが清楚な声で歌うのを聴いて以来,私にとって大のお気に入りのキャロルである。