ディヴェルティメント ニ長調 K.136


ハーゲン四重奏団 (Deutsche Grammophon POCS1096/8)
 
”ケッヒェル100番台”のモーツァルト若書きの作品(1772年,15才のときに作曲)の中では最もよく知られた名曲で,第1楽章冒頭のヴァイオリンの伸びやかな主題は,きっと「どこかで聴いたことある!」と言っていただけることだろう。
 この曲は弦楽四重奏,あるいはコントラバスを入れた弦楽五重奏という独奏編成の形で演奏される一方で,各パートが複数編成の弦楽オーケストラで演奏される場合もある。いずれの編成でも曲のよさに変わりはないが,私自身は学生時代に弦楽四重奏でこの曲をやっていたこともあって,弦楽四重奏での編成がいちばんしっくりする。このページのMIDIはコントラバスを入れた弦楽五重奏のスタイルで作成した。実はK.136とK.138の2曲のディヴェルティメントは,結婚式披露宴のBGMとして,アルバイトで出張演奏をしたときに,よく弾いた定番の演奏曲目だった。
 この曲の第1楽章の演奏の出来不出来の多くは”第1ヴァイオリン奏者の腕”にかかっている。重くならないようにしかも十分歌わせることが絶対の条件。私は第2ヴァイオリンだったので,苦労している第1ヴァイオリンの先輩を横目に見ながら気楽だったのだが,苦労したのが展開部でニ短調に転調するところ。ここでは,第1ヴァイオリンが哀しげなメロディーを優雅に奏でる下で,第2ヴァイオリンはひたすら16音符をスラーで弾く必要があるが,ここがとんでもなく弾きにくい。MIDIで裏方の苦労を実感してください。

*MIDI:第1楽章(Allegro)