Angels from the Realms of Glory
ノート
"Angels from the Realms of Glory"には2つの曲があるが,日本も含めて世界で圧倒的に有名なのは「あら野のはてに」の邦名で知られる賛美歌第106番のキャロルである。オリジナルは古いフランスのキャロル"Les anges dans nos campagnes"といわれているが,どのくらい前から歌われていたのかははっきりしない。英語のキャロルとしては,スコットランドで生まれのJames Montgomery(1771-1854)が自身の新聞"Iris"上に1816年のクリスマスに発表した詩があてられている。もっとも,大半はMontgomeryの詞がそのまま使われているものの,サビのリフレインの部分ではフランスのキャロルの"Gloria in excelsis Deo"というラテン語歌詞でそのまま歌われている。日本の賛美歌でも,この部分は「グロリヤ インエクセルシス デオ」とカタカナで歌われるので,子どもの頃このキャロルを教会で聴いた私は「この変な言葉はいったいなんだろう?」と思ったものだ。「いと高きところに神の栄光あれ」という意味であることを知ったのはずいぶん後になってからである。
一方,同じMontgomeryの歌詞にロンドンのセント・パンクラス教会のオルガニストであったHenry Thomas Smart(1813-1879)が1867年に作曲した"Regent Square"が,もうひとつの"Angels from the Realms of Glory"であり,英国ではこれもよく知られたキャロルである。ただし,サビのリフレインでも以下のようなMontgomeryの詞がそのまま使われている。
Come and worship, come and worship
Worship Christ, the newborn King.
このメロディーの曲は日本の賛美歌では87A番「めぐみのひかりは」であり,キャロルとして扱われているのではない。また,歌詞もMontgomeryのものではなく,John Bowringが1825年に書いた"God is love"があてがわれている。Smartの曲は,有名なフレンチ・キャロルのような華やかさはないけれども,明快で歌いやすい曲だ。
MIDIによる聴き比べ
スマート編