Gabriel's Message


 このキャロルはスペインの山岳地帯であるバスク地方に伝わる日本ではあまり知られていないキャロルである。歌詞の英訳をしたのは英国デボンのエクセターに生まれたSabine Baring-Gould(1834-1924)。この人はヴィクトリア時代に活躍した博覧強記の大作家で,30冊の小説,大部な聖人伝,歴史書などを含めて,長い生涯に100冊以上の本を書いた驚くべき人物だった。さらにすごいのは,彼が作家だけでなく,考古学者,建築家,教師,英国民謡収集家などとしても活躍したということである。まさに「万能のヴィクトリア朝時代人 」だったのだ。このバスクのキャロルもおそらくは彼が民謡を収集する過程で発見したものであろう。"Gabriel's Message"とは,救い主イエスが誕生することを大天使ガブリエルがマリアに告げにやってくることを指している。ちょっと悲しげでメランコリックなメロディーが忘れがたい印象を残す佳曲である。