遊仙寺

戦国時代奥平氏は、今川、織田、武田、徳川の覇者に囲まれた中で、三河作手に拠点を置き勢力の拡大を図ってきた。元亀元(1570)年武田方であった時、本家奥平貞能は次男仙丸(10歳)と日近の奥平貞直の娘おふう、萩の周防勝次の子虎之助の三人を人質として信州武田方に送った。その3年後、奥平氏は武田氏に反旗をひるがえし徳川方についた。怒った勝頼は天正元(1573)年9月21日仙丸等人質を殺害し、鳳来寺でさらし首にした。奥平氏はその首を奪い取り、打掛けに包んで持ち帰ったという。
夏山は黒屋一族の護りが固く、仙丸の墓を長い間手厚く守ってきた。東隣の華蔵院には、その時の血染めの打掛けが打敷きに直されて今なお保存されている。
(看板資料より)

戦国の世は無情です。天正元年8月、奥平家は遂に滝山合戦を断行しました。怒った武田勝頼は三人の奥平人質を鳳来町門谷で殺害しました。信昌(貞昌)の弟の仙丸と、日近久兵衛貞友の娘おふう、更に萩の周防勝次の男虎之助でした。悲報に接した父貞能は乳母某と柳田の僧永順、日影の百姓助右衛門等に命じて夜陰に乗じて仙丸の首を奪い取り、夏山の遊仙寺と広祥院に葬りました。
勝頼の追手は夏の里に忍び込み、これを奪いかえそうとしましたが夏山黒屋一党の護りが固くあきらめて夏山の峰づたいに日近城下に迫りおふうの首を奪おうとしました。しかし黒屋一党の追撃が激しく、木下方向に逃げようとして、遂に現在の七人塚において討ちとられました。この寺には乳母と虎之助のと伝えられる墓が仙丸の墓の側にあります。昭和9年5月21日に仙丸の霊は中津城内の三所神社に合祀されました。このように当寺には奥平家にとって因縁が深く他に家臣の墓が数基残っています。
(看板資料より)

2週間前に遊仙寺に来たときに右奥に立ち並んでいる、家臣らの墓の写真は一番下の写真のように撮影していましたが、このうち一番右側の大きなものが黒屋重吉の墓であり、仙丸切腹の方法を示して先に果てたとの記載を額田町ホームページで見て、黒屋重吉は黒屋甚九郎のことであると分かり、今回近くまで来たので再び立ち寄りました。

→奥平仙千代の墓

本堂に向って右側奥には家臣のものと思われる墓が数基残されていた。中央の石碑には山崎半兵衛と書かれている。

夏山を目指して行きましたが道が狭くなってきて心細くなってきたので場所を尋ねたら既に通り過ぎていました。遊仙寺はお寺らしくない建物です。向って左側の奥の小高いところににきれいに整備された墓があり、これが仙丸の墓といわれているものだそうで、そのすぐ右側には乳母と虎之助の墓といわれているものもありました。