捻 挫
(ねんざ)

落車などで、足首や手首のねんざを起こすことがあります。

 ねんざとは、関節の可動限界(動かせるいっぱいの範囲)を超えた力が加わることで、関節がねじれたり、関節を固定する結合組織が伸び過ぎたり、断裂することで起きます。
 靭帯の損傷が大きいと、手術をしなければいけないケースもあります。

ねんざの重さは、以下の3つに分けられます。

第1度
 ごく一部の靭帯線維の断裂で、軽度の腫脹と圧痛があります。

第2度
 部分断裂:靭帯の断裂は不完全で関節の不安定性はほとんどありませんが、広い範囲の腫脹と圧痛があります。

第3度
 完全断裂 さらに強い腫脹と圧痛があり、関節の不安定性(ゆるみ)がみられます。関節にストレスをかけてX線撮影をおこなったり、関節に造影剤を注射して診断します。

 素人判断はせず、軽いねんざと思っても医師の判断を仰いだ方が良いでしょう。

 受傷したらすぐにR.I.C.E.処置を行い、炎症を抑えます。

 炎症がおさまったらリコンディショニング(機能回復運動)と捻挫再発予防のためのスキルを行い、受傷前の筋力に近付けるようなプログラムを組みます。

 競技復帰をあせって十分な治療を怠ると、再発を繰り返したり(くせになる)後遺障害が残ったりするケースもあるため、適切な処置を受けることが必要です。そして時には将来の事を考えて、思いきった休養をとりましょう。

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よく起こるねんざの部位

足首のねんざ

手首・指のねんざ

肩のねんざ

●足首のねんざ

落車したときにひねって、足首をねんざすることがあります。

関節の外側が痛む→内反ねんざ
関節の内側が痛む→外反ねんざ  

 受傷したらすぐにR.I.C.E.処置を行い、炎症を抑えます。
 受傷直後に応急処置のテーピングをほどこす時には、患部を全て覆ってはいけません。必ず足の甲やすねの部分はテープを巻かず、腫れを逃がす場所を作っておきます。そうでないと腫れた部分への圧迫によって痛みがひどくなったり、血行障害が起きたりするおそれがあるからです。


 以下のような二次的機能障害が起こることがよくあるので、炎症がおさまったらリコンディショニング(機能回復運動)のプログラムを組み、足関節まわりの筋肉を強化します。

1)足関節周囲の筋力低下
 捻挫した後,ギブスや包帯などで固定して運動を制限すると、疼痛は減少しますが、足関節周囲の筋力低下が起こり、歩行時や走行時に疲れがたまりやすくなり、痛みがでます。

2)足関節の不安定性
 捻挫後に靱帯が損傷し、足関節部にゆるみが出現することにより、歩行時に負担がかかり,痛みが出現し、捻挫の習慣化につながります。

3)足間接可動域の制限
 ギプスの固定などで患部を安静にすることで、足関節部の可動域が制限されてしまいます.そうなると足関節が不安定な状態になり、歩行時等に痛みが出現したり、下腿部や大腿部、時には腰部にも痛みがでてくる事があります。

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●手首・指のねんざ

転倒した時に手首や指を痛めることがあります。

 受傷したらすぐにR.I.C.E.処置を行い、炎症を抑えます。
 手首や指は日常生活でよく使う部分なので、無意識のうちに負荷のかかる動きをしてしまい、治りきらないうちにまた同じ場所を痛めてしまうことがよくあります。
 受傷後すぐに医者へかかれないような時には、割り箸などをそえ木代わりに用いて固定するのも良い方法でしょう。

 重度の手首のねんざは、骨折と区別が難しいので、必ず医師の診断を仰いで下さい。

 指はねんざを起こしやすい部分です。特に親指は、衝撃によって靭帯のついている場所から骨折してしまうこともありますし、使用頻度が高いため「ねんざぐせ」がつきがちです。靭帯がゆるんで関節が不安定になったままだと、何度も同じ部分を痛めてしまうので、怪我を軽く見ないで、医師の診察を受けて下さい。


 炎症がおさまったらリコンディショニング(機能回復運動)のプログラムを組み、関節まわりの筋肉を強化します。

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●肩のねんざ

落車・転倒した時に肩から落下して、痛めることがあります。

 肩の関節は、動きが大きく多彩ですが、肩甲骨と上腕骨の接点が浅く狭いために、脱臼などの傷害が起きやすい関節でもあります。

 ロードレースでは、高速でアスファルトに叩き付けられるため、擦過傷とともにねんざを起こしていることがあります。(落ち方が悪いと脱臼したり、鎖骨を折ってしまう)
 マウンテンバイクでは、転倒した際に樹木などに叩き付けられて、打撲とともに傷害をうけていることがあります。

 受傷したらすぐにR.I.C.E.処置を行い、炎症を抑えます。
 傷害の程度については、医師の判断を仰ぎましょう。


 炎症がおさまったらリコンディショニング(機能回復運動)のプログラムを組み、関節まわりの筋肉を強化します。

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