(第7章)SUNSHINE & MOONLIGHT 「人生禍福はあざなえる縄の如し。」昔、授業でこういうことわざを習った。その頃は、まだ意味が よくわからなかった。意味は、読んだとおりだが、良いことと悪いことは常に表裏一体の関係にあるということ。 だから、悪いことばかりおきているからといって諦めることはない。きっといいことがあるはずだ。 きっと、チャップリンならもっとうまく表現すると思うが、それを理解できるようになったのは、 正直、最近になってからである。 僕らは、それからいろいろな話をした。しかし、突然、彼女が、私に聞いてきた。それも唐突に・・。 「 ねぇー!太陽君。太陽君は彼女いる?」正直、それを言われ、私は、ドキドキしていた。 「いないよ。いるなら。毎日一人でこの店に来ないでしょう。」 「やっぱりね。だと思った。」彼女は、おどけた表情で言った。 「なんか、うれしそうだね。感じ悪い。どうせ彼女いませんよ。」 「そういう、朋子さんは?」ドキドキしながら私は聞き返した。 「そうね。太陽君と一緒かな。」 「へぇー!いないんだ。・・・じゃー。どんな人がタイプ?」私は、平静を装いながら聞いてみた。 「タイプか・・難しいね。好きになった人がタイプかな。・・・」 「太陽君は、一目ぼれとかする人?」 「一目ぼれか・・・。少ないかもね。俺の場合は、会えば会うほど好きになっていくほうだからね。 でも、もっとも何ヶ月もかかる場合もあれば、例え、数時間でも好きになることもあるけどね。」 「そうなんだ。じゃー。恋愛は、基本的に、加点法なのかな。」 「加点法?面白い表現するね。でも、加点、減点法と言えば、絶対、加点法だね。その子の 良いところ知れば知るだけもっと好きになるからね。」 「じゃー。太陽君に好きになってもらうには、第一印象が悪いほうがいいって訳ね?」 「そうかもしれないね。」私は、笑いながら言った。 その時、私は、彼女と出会った瞬間のことを思い出していた。 そして、なぜだろうか?それは、もうずいぶん前のこのように感じられた。 「それに、長く一緒にいれば価値観もわかるでしょ?」私は、言った。 「価値観?」 「俺の理想というのが、好きな映画を見て笑うところ、泣くところがすべて一緒。そんな女性が、 もし、現れたらすぐにでも、恋に落ちると思うよ。」 「ふーん。そうなんだ・・・。」しばらくの間、彼女は、考えこんでいた。 「そういう朋子さんはどうなの?」 「私はどうだろう・・・・・。」彼女は、しばらく沈黙し、再び、私に聞いてきた。 「太陽君は、「運命」とか「奇跡」とか信じる?」 「それはもちろん信じるよ。」私はオーナーの顔を見ながら答えた。 「それは、どんな時に?」 「どんな時にと聞かれても難しいね。・・でも、あえて言うなら「奇跡」や「運命」を信じたいときかな?」 「朋子さんは、「運命」とか「奇跡」は、信じないの?」 「昔は、信じていたけど、今はどうだろう。でも、もし、信じることができるならきっと楽だと思うわ。 すべてそのせいに出来るから。・・・奇跡を信じるか・・・?」彼女は、笑ったかと思うと、 時に寂しげな表情を浮かべた。 「恋愛って難しいよね。ピアノみたいに練習するからといってうまくなるものでもないし。」 「人を好きになるって人間が生まれてから与えられた試験の中で一番難しいことかもしれないね? 絶対正しい答えなんて書けないから・・・。」 「そうだね。」その時、私は、正直それ以外の言葉を見つけることができなかった。 それから、しばらく、彼女のまわりを沈黙が包みこんだ。そして、それは、何かを考えているかのようだった。 しばらくすると、彼女は下を向き、顔をあげ、そして、両手で自分の顔を軽くはたいた。 そして、それは何かを決意するために気合をいれるかのように。 「ねぇー!質問ばかりしてごめんね。もうひとつ聞いていいかな?」 「何を?」 「もし、太陽君ならその子のことをどう思うかなと思ってね。」 「例えばなんだけどね、ある曜日にある店に行って必ず同じ席に座る女の子がいるの。 その子は、ある出来事があって恋ができなくなってしまったの。正確に言えば、恋に臆病になって しまったの。そして、自分にとって今、運命の人が現れたとしてもどうしても怖くてそれを受けいれることが できないの。それこそ、今、おきている奇跡を信じたいのに・・。」 彼女は、私の目をそらさず、自分のすべてを語ろうとしているように思えた。 「ある出来事って?」その時、私は、すべてを聞かなければならないと思った。 「その子には、当時、同じ楽団に恋人がいたの。そして、その子は、恋をしてからとても幸せな毎日をすごしていたわ。 小さい頃から、ピアノ一筋だったその子にとってそれは、初恋だった。そして、それは感じたことのない眩しい位の 貴重な時間だった。そして、その彼は、いつも彼女の右側にいた。何をする時でも。 それは、彼女にとって、とても安心感とやすらぎを与えていた。それこそ、彼が、右側にいてくれれば、 どんな難しい曲でも演奏することが出来た。それは本当に幸せな時間だった・・・・・。 でも、ある日、突然、聞きたくないことが耳に入ってしまったの?」 彼女は、目に涙を浮かべ大きなため息をついて、私に言った。 「ちょっと、ごめんなさい!」涙をこらえながら、彼女は化粧室へ向かった。 私は、マスターに自分が思っていることを確認のため聞いてみた。 「今の話って・。その・・ですよね?」 マスターは、静かにうなずいた。 「太陽君。いいかな。女性を30年もやっているといろいろあるよ。男の私達以上にね。」 「太陽君、お客という立場より男と見込んで彼女の話を聞いてあげてもらえるかな?」 その時の口調は、今までのマスターのものとは別人であるかのようだった。 「・・わかりました。もちろんそのつもりです。」私は、短く返事をした。そして、その時私はすべてのことを わかった気がした。なぜ、彼女は、この店のカウンターの一番はしの席、つまり右側のない席に座っていたのか を・・・。そして、その席を私に譲ってくれたということは・・・。 私はそれ以上何も聞こうとしなかった。そして、マスターも何も語らなかった。 どれくらい時間がたったのだろうか?それは、長くも感じたし短くも感じた。 彼女は、目を真っ赤にしながら私の横に戻りそして座った。 「ごめんね。急に・・。私から聞いておいて。」 「それで・・。」私は優しく語りかけた。 「うん。どこまで話したっけ。あ、そう。ある日突然、その子の耳に 聞きたくない言葉が入ってきたの。・・・彼に奥さんがいるって・・・・。その時の気持ちは今でも 忘れられない。その子のまわりに闇が包み込んだの。そして、どうしても信じられなかったので、 その子は、彼のところに向かった。そして、彼に問いただした。結果は、・・・彼には奥さんと子供がいたの。 いわゆる不倫だった・・・。その子は、彼を責めた。そう何度も何度も責めた。そして、その後、 彼は車で飛び出し事故に会い・・・即死だったの。それ以来、彼女はピアノを弾くことをやめた。 そして、恋をすることもできなくなってしまった。」彼女は、とても悲しい表情で私を見やった。 「で、今、その子はどうしているの?」 私は、答えが目の前にあるのにあえて尋ねた。 「それから、しばらく何もやる気が起きなくて。ただ、ひたすらずっと自分を責めていたの。そして、 来る日も来る日も自分に罰を与えていた。自分を責めてもどうにもならないことがわかっているのに。 でも、ある時から、週に一度だけ自分の一番好きなこの店に来ることだけを自分の中で認めたの。 それは、きっと自分を責める気持ちとそこから抜け出したい気持ちとの「自己」を維持することができる ぎりぎりの境界線だったかもしれない。きっと心のどこかで誰かに助けを求めていたのかもしれないな。 それこそ、私を解放してくれる奇跡を信じて。」彼女はうつろな表情で答えた。 「今でもその人のこと好きなの?」 「わからないの。ショックが大きすぎて。今となっては。彼が死んだことにショックを受けたのか、 不倫をしてしまったことにショックを受けたのか。好きなのか?嫌いなのかも。」 「・・・後悔しているの?」私はあえて聞いた。 「・・・後悔はしていないと思う。」 「そうか・・・。それならよかった。」 「では、なぜピアノをやめてしまったの?」 「私は、それ以降、どんな楽しい曲を弾いても、悲しいメロディーになってしまうの?気持ちの問題だけど。 私は、自分の前にいるすべての人に私の演奏で夢や希望を与えるためにピアノを弾いてきた。 そして、そのために今まで頑張ってきたの。でも、それができなくなってしまった。 そして、悩み、苦しんでいるうちに、そんな自分がいやになってしまったの・・。」 「それが理由?」 「うん。」彼女は静かに答えた。 「ごめん。あんまり、うまく言えないけど、でも、少なくても、今日、聞いた演奏は、 この俺に夢や希望を与えてくれたよ。 それに今日きたお客の彼女も朋子さんの曲を聞いてすごく元気になっていたし、それにさっき聞いた曲。 少なくても俺のハートには十分響いたし。・・・とにかく、 自分で自分を否定するなんてもったいないよ。」 「本当うまく言えないけど・・・・。音楽のことはよくわからないけど、絵のことなら少しはわかるんだ。 俺、昔から絵を描くのが好きだったんだ。そして、その中でも油絵が一番好きだったんだよね。 なぜだかわかる?」 「ううん!」彼女は小さく首を振った。 「水彩画って、例えば、黒い色を使ってしまうと、黄色や水色など薄い色で直すことができないんだ。 それは、まさに白いキャンパスに対して一回限りの真剣勝負。できあがる水彩画は、とても やさしい感じがするのと同時にとてもはかない気もするんだ。」 「それに比べて、油絵は、白いキャンパスに絵を描く。そこまでは同じだけど、そこからが違う。 油絵は、何度も何度も色を重ねることができるんだ。例え、失敗してもまたその上から何度も何度もね。 そして、それは、心の葛藤や悩み、また喜びなど描く人の感情がすべて上塗りされていく。 それは、木の年輪がひとつひとつ増えるようにね。そして、作品は出来上がる。 描き手の人生のすべてが詰まっている作品がね。だから、そういった作品だからこそ、何年たっても人々に 感動を与えることができるんだと俺は思っている。ゴッホでも、ミレーでもマチスでもダヴィンチのような 天才でもきっと悩んで、悩み苦しんで絵を描いていたと思うんだ。 だからこそ、油絵は水彩画では、出せない、色々な感情 つまり「生きる力」を感じることができるんだ思う。 だから俺はそんな油絵が好きなんだ。」 「音楽もそうじゃないかな?世界中の人々が、夢や希望を持っているわけではないし、悲しい曲を 聴きたい人だっている。でも、一番素敵なことは、夢や希望も悲しさもすべて表現できる演奏者じゃないかな。 悩みをもったことのない人間の演奏なんて、人間味がないじゃない。 それは、つらいことだけど本当は、素敵なことかもしれないよ。人を好きになることの楽しさ、人に裏切られる ことの苦しさ、そして、大事な人を失うつらさそして、そこから立ち直るための努力などいろいろな大切な ことを学べたんだから・・。 そして、その子の演奏は、きっと今まで以上に、人々に夢や希望をもたせる ようになると思うよ。 ・・・恋愛も同じことだよね。喜びや悲しみなどいろんな経験が、その人をより魅力的にするんじゃないかな・・。 少なくともと俺はそう思うよ。それにさっき言っていたじゃない。・・「後悔してないって。」 それが言えるんなら何も言うことはないんじゃないかな。もう大丈夫だと思うよ。 それに、・・・・no, one’s perfect (完璧な人間はいないしね。) ・・・これ、質問の答えになっているかな?」 「うん!」彼女は、あふれる涙をとめることもなく小さく返事をした。 「では伝えてくれるかな。時にずうずうしく、小悪魔な微笑みで人をだましたりするけど、 じつは、さびしがりやでとっても心のやさしいその子に。」 「すくなくても、世界で2人と1匹、その子の演奏を心待ちしている人がいるということをね。 ねぇー、マーシー!」 おどけた表情でマスターの顔を見やり、そして彼女にウィンクをした。 「そうだよ!」マスターはやさしく語りかけた。 「ありがとう・・・。本当に。」彼女は、喜びの涙を流した。 「よし、いっぱい泣いていいよ!今日は。でも泣き止んだら、その倍は、笑わなきゃ駄目だよ。今までの分もね。」 「うん。」 「はい、ハンカチ」私は、そっと彼女に手渡した。 「ごめん。ありがとう。」彼女は、そのハンカチで涙をぬぐった。 「ありがとう。あぁーあ、涙でぐちゃぐちゃになっちゃったな。それに、化粧、落ちちゃったし。 もう、人前に出られないかな。」彼女は、すべてを吹っ切れたのだろうか微笑みながら言った。 「大丈夫。十分綺麗だよ。それに・・・・。」 「それに?・・・・」彼女は、首をかしげて私に聞いた。 「それに、・・「笑顔」にまさる化粧はないからね。」私は、照れながら言った。 「・・・ありがとう・・・。」 マスターはグラスを手に持ち、彼女に向かって静かに語りかけた。 「朋子ちゃん。私からさっきのピアノ演奏のお礼に、一杯受け取ってもらえるかな?」 「そんな、お礼なんて!・・・すいません。ありがとうございます。」彼女は照れくさそうに、 そして、明るい表情で答えた。 マスターは、まず、シェーカーに、テキーラ45ml入れ、そしてホワイト・キュラソー、ライムジュースと レモンジュースを30ml入れ、それをシェィクし始めた。そして、それをソルトスノー・スタイルのカクテル・グラスに 注いだ。このカクテルの名前は、マルガリータ。そして彼女の前に置いた。 「マーシー!これって・・・マルガリータですよね。」 「そう。今まで、朋子ちゃんが拒み続けてきたカクテルだよ。今日、もし飲まなかったら永遠にこのカクテルは 飲めないと思って。」マーシーは強い口調で言った。 「ありがとう・・。」彼女は、マスターに一礼をしマルガリータに口つけた。 マルガリータというカクテルは、ロサンゼルスのバーテンダー・ジャン・デュレッサー氏の亡き 恋人の名である 彼女は、二人で狩猟に出かけた時、運悪く流れ弾にあたりマルガリータは彼の腕の 中で帰らぬ人となってしまった。 そして、彼は、メキシコ生まれの恋人をしのびメキシコ生まれの テキーラを使いこのお酒を作ったらしい。そして、このカクテルには、過去を思い出に変える力があるとも 言われている。 「おいしい・・。とても、おいしいです。」彼女は、すべてことに決別したのであろうか? 瞳に涙をためながらマスターに感謝をした。 すると、急に、彼女は、私の方へ向きを変え、照れくさそうに言った。 「太陽君。これもらってくれるかな?」彼女は、グラスをカウンターに置き、かばんの中から赤い折りたたみ傘を 取り出した。 「これは?」私が問いかけると、彼女は言った。 「何かお礼がしたいので、もらってくれる?」彼女は私に手渡した。それは気になっていた あの傘だった。 私は、マスターの顔を見るとすべてのことを理解した。それは、きっと彼からのプレゼントだったのだろう。 雨が降っているのに傘をささなかった。それは、彼との思い出を出したくなかったからだと思う。 そして、何故それを持ち歩いているかというと、彼女自身、それを過去への免罪符としているのかもしれない と解釈した。それを、私に渡すということは、過去を思い出に出来たのであろうか。 私は、すべての意味を理解し、「ありがとう」言ってそれを受けとった。 僕らはそれからどれ位話したのだろうか・・。 「・・それから、この話の続きがね・・。」私は、夢中でしゃべっていた。そしてふと横を向くと彼女は 眠ってしまっていた。 「あれ!眠っているよ。」私は、マスターの顔を見やった。 「今日は、いろいろなことがあったから疲れたんだろう。結構飲んでいるしね。」相変わらずオーナー の口調はやさしい。 「今日、なんかとても一日が長く感じます。朝起きてからずっと・・。」私はふと思い出した。 「たしか占いには、・・今日は、何をしても絶好調!それなら、いつもと違うことにチャレンジしてみては、 さらに人生が開けるかも!」「ラッキーアイテムは、ピアノ、赤い傘,シルバーのジュエリー」 確かに、今日はいつもと違うことをしている。何せ金曜日にここに来ているし、バーテンの仕事もした。 ラッキーアイテムの、古いピアノの奏でる音楽を聴き、シルバーのイヤリングを手にし、赤い傘をもらった。 考えれば、なんだかんだ言っても仕事のクレームは片付いた。これは、まさに奇跡である。 「どうしたの?」一人で驚いている私にマスターが声をかけてきた。 「実は、今日、朝から・・・」私は、今日、朝から起きた不思議な出来事をオーナーに話をした。 「そうか。そんな不思議なことが。・・「占い」ねぇ!後は、金運だけかな?じゃ、神様のお告げでは 言うこときかないといけないね。・・・・今日は、二人とも、私のおごりにしましょう。 それに、手伝ってもらったしね。」 オーナーは、うれしそうな表情で私に言った。 「ありがとうございます。」私は、素直に喜んだ。 これで、仕事運◎、金運◎、ラッキーアイテムのピアノと赤い傘そして、シルバーのジュエリーはそろった。 後は、恋愛運だけである。私は、となりで寝ている天使を見やった。 「今後、僕らはどうなっていくのであろうか?」私はふと考えた。するとオーナーが私の考えていることを 察したかのように言った。 「この先のこと、考えていただろう?太陽君。」「でも、太陽君、大丈夫だよ。さっき気づいたことがあってね。 朋子ちゃんの「朋」って、月が2つだよね。普通、月が出で、太陽が現れ、また月が出る。そうしたらどうなる?」 オーナーは、僕に問いかけた。 「月が出て、太陽が出て、月がでる・・・「明日」ですか?」私は答えた。 「そうつまり、君たちには「明日」という未来が開けているということだよ。これからも朋子ちゃんの影を 太陽君の光で晴らしてあげて欲しいね。」オーナーは得意気な表情で言った。 私は、その時、さっき朋子さんが弾いていた曲「SMILE」が頭の中を駆け巡っていた。 そして、あの曲の歌詞は、こうであった。 「さぁ笑って心を抱えていても 笑ってごらん ぎこちなくたっていいよ 空が雲で覆われて 暗がりが広がるとき 微笑が救ってくれる 恐れも悲しさも通り抜け さぁ笑ってごらん 今すぐじゃなくたっていい 夜明けの太陽を 感じられるから 君のためにそそぐ光を 喜びをつれて、その顔に明るく差し込むこの光が悲しみの影が残したどんな軌跡も 隠してくれる 涙がこぼれ落ちるような気持ちが芽生えたら そのときこそあきらめず 立ち向かってゆこう 笑顔をみせて 泣いて知り得るものは何? 微笑みは、まだ見ぬ明日がまっていること 教えてくれるよ そう ただ笑顔を浮かべるだけで・・・・」 彼女は、すべての意味を知ってあの時、この曲を私に弾いたのだろうか?それとも偶然なのだろうか? 「太陽君どうしたの?」考え事をしている私にオーナーが声をかけてきた。 「マスターいや、マーシーは詩人だなと思って。」私はとびきりの笑顔で答えた。 それは、とてもすばらしい夜であった。
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