教科書と「慰安婦」 

 

1995年使用の高校教科書に
戦後補償・「慰安婦」

●1994、高校教科書に戦後補償・「慰安婦」
高校教科書検定、戦後補償記述に柔軟姿勢
掲載日1994年07月01日 、共同から

来春から使われる高校教科書の検定が終わり文部省は三十日、検定内容を公表した。戦後補償について「国家間の賠償は解決済み」とする政府見解を踏まえた上で「個人の補償問題は未解決」とする記述を認めたのが特徴。アジアの戦争犠牲者数についても各国政府発表の資料などを基にした二千万人を許容するなど、アジア諸国に配慮した緩やかな検定姿勢が目立った。
この半面、各教科を通して学習指導要領への準拠を強く要求。コミュニケーション能力を重視する英語で、文法に重点を置いた教科書など四点を不合格にするなど、指導方法や学び方まで厳しく枠にはめる傾向が一段と強まった。
個人賠償まで含めた戦後補償問題が教科書で正面から取り上げられたのは今回が初めて。日本史や政治・経済など十四点に登場し、見開きの「テーマ学習」で扱うところもあった。
検定では、国家賠償と個人賠償を明確に分けて記述するよう求めた以外は、意見を付けなかった。
この結果「戦争被害者に対する補償問題の解決が焦点」との記述は検定で「個々の戦争被害者に…」に変わったが、「国家間の問題として解決したとしても、それによって個人の請求権は消滅するかという問題がのこされている」との記述はそのまま通った。
ただ従軍慰安婦の人数については「まだ定まっていない」と今回も削除を指示。募集の際、「ら致」したなどとする記述も書き換えさせた。
国会で問題となったアジアの戦争犠牲者数は「否定する根拠はない」として二千万人の記述に意見を付けなかった。
しかし、地理では指導要領が求める地域調査の方法に全く触れない教科書を大幅に書き換えさせるなど全体的に指導要領の内容を過不足なく書かせる姿勢を鮮明にした。

問われる内容画一化
新しい検定制度下での二度目の高校教科書検定が終わった。高校教育の多様化に対応してテーマ型編集などさまざまな教科書が登場した中で、小、中学校に続き、文部省が新学習指導要領の趣旨の徹底を図る総仕上げの検定だったと言える。
知識よりも思考力を重視し、教え方、記述の分量、範囲にまで踏み込んだ指導要領の厳格適用は、今回は英語の大量不合格や理科記述の書き換え要求などに象徴的に表れた。大判化、ビジュアル化、工夫を凝らした編集など表面上の多様化とは裏腹に、文部省の意図に則した内容の画一化があらためて問われよう。
検定意見自体は、「八○年検定」で百四十(修正意見、文部省調べ)もあった家永三郎氏の日本史教科書が、今回は三十一になるなど激減。イデオロギー対立の時代の終えんを反映して「ストライクゾーン」も広がりを見せた。
賛否両論ある問題に国の見解を併記させるなどの姿勢は変わらないが、「地理歴史、公民など旧社会科の教科書が検定不合格になることはもうないだろう」の声が編集者から出るほどだ。
「ソフト化」の一方で、今回の検定では、日本史の南京大虐殺の記述をめぐり、事実上検定制度外の修正要求という運用面での問題点も明らかになった。
この教科書は、検定審議会を経て合格したのに、文部省は既に使われている他の教科書の類似の記述を問題視する声を受け、修正を求めた。
執筆者は、「学問的な裏付けもある」と反発しながら、最終的には自主訂正(誤記)という形で修正に応じたが、本来、大臣勧告のない合格後の修正要求は検定規則にない。審議会にも諮られておらず事務当局だけの「密室検定」との批判は免れない。

1997年から中学教科書
すべてに「慰安婦」

●教科書検定パス「慰安婦」中学社会に
掲載日1996年05月12日 、共同から

来春から中学校で使われる教科書の検定で、社会科歴史の全教科書(七社)が「従軍慰安婦」について記述し、合格したことが十一日、分かった。公民、地理で取り上げた教科書もパスした。高校ではすべての日本史教科書が従軍慰安婦に触れているが、中学の教科書が明確に記述したのは初めて。ただ、文部省は高校用の検定と同様に、戦後補償に絡んで扱った教科書には「国家間の戦後補償は解決済み。慰安婦問題は後になって出た個人の要求」との意見を付け、政府見解を徹底するよう求めた。

検定をパスした中学歴史教科書は、いずれも本文や資料などで「従軍慰安婦」「慰安婦」「慰安施設」といった用語を使い、この問題を取り上げた。
A社は「朝鮮などの若い女性たちを慰安婦として戦場に連行しています」と本文で触れた上、「日本政府に戦後補償を求めて、デモ行進する韓国の元従軍慰安婦の人々」と説明を加えた写真を載せた。
このほか「女性を慰安婦として従軍させ、ひどい扱いをした」(B社)、「多くの朝鮮人女性なども、従軍慰安婦として戦地に送り出された」(C社)などの記述もそのまま通った。
しかし、公民を中心に戦後補償問題に言及した教科書には「慰安婦問題はあくまでも個人の要求なので、国家間の補償とは区別してほしい」などとして、検定意見で書き換えを求めるケースが目立った。
A社の公民の場合、申請本では「現在、従軍慰安婦問題などの戦後補償についての日本の対応が問題となっています」となっていたが、意見が付いたため、「戦後補償」を「個人に対する戦後補償」と差し替えて合格した。

「どう教えれば」現場から戸惑い
中学校教科書にも登場する従軍慰安婦問題。教科書出版社は「現場の教師から『教科書に入れてほしい』と要望が出ていた」と口をそろえる。しかし「性暴力の事実を中学生にどう教えるのか難しい」と戸惑う教師も。「従軍慰安婦」という用語は使われていても、実態についてはほとんど記述されていないことも不安を増幅させているようだ。
今回の検定で「従軍慰安婦」がパスした理由について、教科書執筆者の一人は「新聞やテレビで報じられる機会が増え、用語として社会的に定着してきたため」とみる。
しかし、検定結果を見ると、詳しい事実関係まで踏み込んで扱った教科書はない。関係者の話では、慰安婦の人数を入れようとしたものの、文部省から検定意見が付き、取りやめた社があったという。
検定合格後の訂正申請で「日本兵士の性の奴隷として使われた」という表現を加えようとしたが、「事実の訂正に当たらないので、訂正申請では扱えない」と拒否された例もあった。
 

1997年使用の中学教科書
すべてに「慰安婦」

●「従軍慰安婦」中学社会科の全社で登場
掲載日1996年06月28日 、共同から

文部省は二十七日、来春から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。戦後半世紀を契機に「従軍慰安婦」の記述が社会科歴史の全社で登場。日本による植民地時代の加害事実の記述自体は、規制しないという緩和の流れが定着した。だが、アジア各国の被害者が求める戦後補償に関する記述には「国家間賠償は解決済み」という検定意見が付き、書き加えられた。自衛隊の記述も厳格に点検するなど、国の基本政策については政府見解を踏まえるよう求める従来の検定姿勢を維持している。

整理・縮小を求める声が高まっている沖縄の基地問題は、急きょ追加して取り上げた社も含め半数以上が記述。その中で日米安保条約の見直しに触れた内容も認められた。一方、学校週五日制の拡大に対応して、数学で四社が総ページ数を減らすなど内容削減の傾向もわずかに見せ始めた。

中学校教科書の検定は、現行学習指導要領で二回目。九教科百六点の申請に対し、すべて合格とした。七社申請の社会科は地理、歴史、公民の各分野で、韓国・朝鮮人らの強制連行、従軍慰安婦、サハリン残留などの個人に対する戦後補償問題を取り上げる例が目立った。
検定では六社の記述に「国家間の賠償は解決済みとされており、問題は個人の請求権に基づく主張である点に配慮してほしい」と意見を付け、個人への補償や謝罪を求める動きを紹介する記述に「国家賠償は解決済み」という内容を併記させた。

自衛隊の記述はこれまでと同様に@国家には自衛権があるA各国は防衛努力をしているB自衛隊の任務―の三点を書き込むよう求めた。
沖縄の米軍基地問題は、社会科公民で七社中四社が掲載。うち一社は返還運動が盛り上がるきっかけになった米兵による少女暴行事件に触れた。また基地縮小問題をはじめ「日米安保条約体制の見直しを求める声が高まっている」と記述するなど、数社が安保見直しの動きを取り上げた。戦前、中国東北部で捕虜などを人体実験した旧陸軍「七三一部隊」も初登場した。

1998年使用の高校日本史教科書
すべてに「慰安婦」

●日本史すべてに「慰安婦」検定申請教科書
掲載日1997年02月03日、共同から

文部省が検定を進めている来春から使用の高校教科書のうち、日本史全点が従軍慰安婦について記述、現代社会と世界史でも過半数が取り上げていることが二日、明らかになった。被害者証言を採録したり、民間基金による補償にも言及するなど、現在使われている教科書より詳細な内容となっている。
関係者によると、検定では従軍慰安婦の記述は大筋で認められる見通しだが、軍の直接的な「強制連行」を示す記述と被害者数については、書き換えや削除となりそうだ。これまで通り、一九九三(平成五)年に発表された「政府調査結果」に沿った検定姿勢となっている。一部の学者文化人による中学教科書からの削除を求める動きや、梶山静六官房長官の「当時は公娼(こうしょう)制度があった」という発言もあるが、史実として教科書に記載する流れは、定着したと言える。
教科書検定は、四年サイクルで行われ、高校用は二年に分けて検定する。今回検定を受けているのは、日本史A、B合わせて十点、現代社会十五点、世界史A、B計十一点、政経六点など。このうち、日本史は全点が、現代社会は少なくとも八点、世界史は同六点、政経も同三点が従軍慰安婦を取り上げていることが分かった。地理、倫理でも言及した教科書があった。
日本史や世界史では、日本の植民地政策に関する部分で「よい働き口があるなどといつわって、従軍慰安婦として中国などの戦線に強制連行された多くの女性もいた」などと記載。今春から使われる中学校教科書と同様に、強制があった事実は記述している。
だが一部教科書の「すべてが軍による直接的、組織的な強制連行」と解釈できるような記述には、政府調査結果の枠を逸脱しているとして、検定で書き換えとなる方向だ。

〈生々しい元慰安婦体験談も〉
現在、検定申請中の高校教科書では「従軍慰安婦」について従来より詳しく書き込んだケースが目立つ。元慰安婦自身の証言や強制連行の経緯、戦後補償問題をめぐる政府への批判まで幅広く取り上げ、積極的に高校生にこの問題を伝えようとする出版社側の意気込みが感じられる。
現代社会ではテーマ学習の欄で新聞記事から元慰安婦の体験談を引用した教科書もある。証言は「十一歳のとき、…日本人に連れ去られ、台湾・高雄へ。特攻隊専用慰安所で働かされた」「月一度の性病検査があり、病気と分かると食事も与えられず、慰安婦が死亡すると、どんどん補充された。『過去』を思うと結婚できず、後遺症から言葉と足が不自由になった」と生々しい。
ある社の日本史Bの教科書では現行で単に「多数の女性が従軍慰安婦として」としていたのを「…朝鮮人女性は日本軍兵士の性の相手として従軍慰安婦にされ」と「慰安」の性格を明記。
また別の社の日本史Bは、これまで「女性のなかには戦地の軍の慰安施設ではたらかされたものもあった」とだけ記していたが、今回はその後に「(いわゆる従軍慰安婦)」と追加した。また、世界史Aでは「注」で小さく扱っていたのを本文に移した例もある。
現代社会では補償問題に力点を置く教科書が増えた。「政府も募金による民間基金を設立したが、それでは不十分だとの批判もあり、まだ多くの課題を残している」などと、政府の対応に納得が得られていない現状を指摘した部分もある。

=政府調査結果=
政府は、一九九二年七月にいったん調査結果をまとめ、慰安所の経営などに当時の政府が関与していたことは認めたが、強制連行については「裏付ける資料はなかった」とした。これに韓国などから反発があり、被害者らに聞き取り調査などを実施、九三年八月に追加調査結果を発表した。焦点の「強制性」では「業者らが、甘言を弄(ろう)し、あるいは畏怖(いふ)させる等の形で、本人たちの意向に反して集めるケースが多かった」と認めたが、軍の直接関与は明示していない。被害者数は「確認するに足りる資料がない」として数字は挙げず「数多くの慰安婦が存在した」と認定するにとどまった。当時の河野洋平官房長官は「心身にいやしがたい傷を負われた方々に心からおわびと反省の気持ちを申し上げる」との談話を発表した。


 

1998年使用の高校教科書で
「慰安婦」等の記述一部変更

●高校教科書検定「軍の強制連行」書き換え
掲載日1997年06月27日 、共同から

文部省は、来春から使用される高校教科書の検定結果を二十六日公表した。従軍慰安婦の記述は地歴と公民の全科目に登場、記述内容も詳しくなったが、「軍による強制連行」や被害者数の記述は厳しく検定意見を付けて書き換えさせた。その際、一九九三年八月の「政府調査結果」を踏まえ、@軍による従軍慰安婦の強制連行を明示した記述A確認するに足る資料がない死亡者数の記述―は書き換えを求めるなど、四項目にわたる事実上の「基準」を示し、検定方針を明確にした。また家庭科では夫婦別姓など個人のライフスタイル重視の記述に、夫婦、子供を基本に据えた家族観を学ばせる学習指導要領とそぐわない、として四点が不合格になり、家族像の変容と検定姿勢との落差も浮き彫りになった。

高校教科書は現行の学習指導要領による二回目の検定で、一点の検定意見数は平均三十件。九二年度の五十五件からほぼ半減。不合格本は三百六十五点中七点で、家庭科が半数以上を占めた。
検定では従軍慰安婦について、「政府調査結果」を基に日本軍の直接関与などのほか「人数の明示の記述は認めない」「従軍慰安婦と女子挺身(ていしん)隊を区別する」の四項目の「基準」でチェックした。
「旧日本軍は、中国・朝鮮など日本が侵略した地域の多数の女性を強制連行」(政治・経済)という記述には、強制連行への軍の直接関与は明示しているため、?基準?に従い「誤解のないよう工夫を」と意見が付き「旧日本軍」の言葉が削除された。
「従軍慰安婦にされた女性たちは戦場で数多くが死んだ」(日本史)という記述についても意見が付き、「戦場の死」は消えた。
戦後補償の記述は、個人補償の問題を扱うのは緩やかだったが、「国家間における賠償は解決済みとされている」という政府見解の併記を求めた。領土問題では、中国などと領有権をめぐり揺れる尖閣諸島を北方領土、竹島と同列に扱った記述に「わが国が実効支配している」として尖閣諸島が外された。

不合格が出た家庭科の四点は多様な家族観を盛り込んだ内容で、「『男はしごと、女は家庭』との性別役割分業について固定的な考え方も崩れつつある」などと記述されていた。これに対して文部省は「不合格本は家庭の基本についての記述が薄い」と説明している。

政府調査結果 政府は一九九二年七月いったん調査結果をまとめ慰安所の経営などに当時の政府が関与していたことは認めたが、強制連行については「裏付ける資料がなかった」とした。これに韓国などから反発があり、被害者らに聞き取り調査などを実施、九三年八月に追加調査結果を発表した。焦点の「強制性」では「業者らが、甘言を弄(ろう)し、あるいは畏怖(いふ)させる等の形で、本人たちの意向に反して集めるケースが多かった」と認めたが、軍の直接関与は明示していない。被害者数は「確認するに足る資料がない」として数字は挙げず「数多くの慰安婦が存在した」と認定するにとどまった。

6カ所で公開へ
文部省は二十六日、今回の検定で審査対象となった申請本と修正後の見本を全国の六会場で一般公開すると発表した。また会場では、本年度から検定意見の付いた記述をまとめた指摘事項一覧表や検定意見の概要、不合格本の理由書などを初めて公開、記述の変化が分かるようにする。
 
 


 

「従軍」の削除について

●2000.2.28 衆議院予算委員会第三分科会
 御手洗康政府参考人 文部省初等中等教育局長
 松崎公昭議員(新進→民主)
 

○御手洗政府参考人 御指摘ございました従軍慰安婦につきまして、特に中学校の社会科の教科書におきましては、平成七年度に検定申請された教科書、すなわち平成九年度から使用された教科書からこういった記述が出てまいっております。個々の発行者がなぜこの問題を取り上げたかということについて、正確にお答えする資料を持っておりませんけれども、現時点で考えますと、当時、平成三年ぐらいから、かつて慰安婦であった方々から訴訟が起きるというような社会的な事件等が報道されまして、その後、この問題についてのマスコミ報道等がありまして、社会的な関心が高まったということは一つあったかと存じます。それからまた、そのような背景をもとに、平成五年八月に政府から慰安婦関係調査の結果が発表され、一応の慰安婦関係の事実関係について政府としての見解が出されたというようなことが背景にあったものと考えているところでございます。
○松崎分科員 この問題も、かなり時間をかけなければいけない問題であります。きょうは時間がありませんけれども。これはもちろん、最初はもう本当に一社の誤報から始まってしまった、五十七年ですね。そこから宮澤官房長官の談話になり、これがまた、今の訴訟もあったのでしょう、いろいろ今のような、教科書にまで書くようになった。特に河野官房長官のときの平成五年から出たのですね。この辺は、やはりもともとが誤報から出発している。もちろん、その背景はありますよ。中国にしても韓国にしましても、もちろんずっと背景はあったわけでありますけれども、教科書にまで入ってきたということは、これはかなり、政治の誤りみたいなものが今日まで来てしまったということがあったわけですね。近隣諸国の条項でありますとか官房長官の談話、こういったものが一つの大きな引き金になって今日まで来た。ところで、昨年の十一月に二つの会社から、「従軍」の字句を削除した、これはどういう理由で、またどういう背景で急にそうなったのでしょうか。
○御手洗政府参考人 昨年の九月から十一月にかけまして、三つの中学校の社会科の発行者から、御指摘の慰安婦に関する記述の訂正について、教科書検定規則に基づきまして申請がございました。これにつきましては、訂正理由といたしましては、いずれも、実際に教科書を使用したことによりまして、学習を進める上で支障があるというような理由がついておるわけでございます。具体的には、一つは、従軍慰安婦の「従軍」を改めるということ、それから、強制的に戦場に送り出されたという記述を、意思に反して戦地にと。こういった従軍という記述と強制的に戦場にという、この記述が訂正されたということでございます。

→ 詳細


 

文相、教科書からの「慰安婦」削除拒否

●1997年02月09日 、共同から
=社会=
▽元従軍慰安婦の記述定着
文部省が検定中で来春から使用予定の高校教科書のうち、日本史全点が元従軍慰安婦について記述、現代社会と世界史でも過半数が取り上げていることが二日、明らかになった。
 

●1997.2.20参議院文教委員会

○田村秀昭君 平成会の田村秀昭でございます。持ち時間が少ないので、簡潔にお答えを願いたいと思います。さきの一月三十日の参議院予算委員会、補正予算の委員会で文部大臣に御質問をした、四月から使われる中学の歴史教科書から従軍慰安婦という言葉を削除する、記述を削除するように求めましたけれども、文部大臣からは拒否されているわけですが、その後、歴史的に残る文部大臣として心境の変化があるかどうかお尋ねいたします。
○国務大臣(小杉隆君) 先日の予算委員会における委員の御質問でもお答えしたとおり、従軍慰安婦の記述を含む社会科の教科書については、専門家から成る教科用図書検定審議会のさまざまな角度からの審議を経たものであって、その後客観的な情勢、事情の変更等がないので、訂正を行う考えはありません。


 

韓国の教科書の「慰安婦」記述

●1997.3.12参議院予算委員会
加藤良三外務省アジア局長

○政府委員(加藤良三君)九七年三月から使用される韓国の中学校それから高校用の国定歴史教科書、いわゆる従軍慰安婦に関しまして、これは日本語の翻訳でございますけれども、次のような記述があると承知いたしております。まず、中学校の教科書でございますが、「女性までも挺身隊という名でひいていかれ、日本軍の慰安婦として犠牲にもなった。」。次は高等学校の教科書でございますが、「女性たちまで挺身隊という名でひいていかれ、日本軍の慰安婦として犠牲にもなった。」。以上でございます。


朝鮮日報 2002.02.21
国史教科書の「慰安婦」内容を補強

 新学期から中高校で日本軍慰安婦に関する内容が補強された国史教科書が用いられる。

 女性部は21日、「日本の歴史教科書の歪曲問題が浮き彫りになったことを受け、教育人的資源部と国史編さん委員会に対して中高校の教科書の中で、慰安婦に関連した部分を修正するよう建議した。この度、中学校2年生、高校1年生が使う国史教科書の慰安婦に関連した叙述が補強された」と明らかにした。

 中学校2年生の国史教科書の場合、「女性までもが挺身隊という名で強制連行され、日本軍の慰安婦として犠牲になった」と簡略に記されていた従軍慰安婦に関連した部分が、新しい教科書の262ページでは「(日本帝国は)数多くの女性を強制動員し、日本軍が駐屯しているアジア各地域に送り込み、軍隊の慰安婦にし、非人間的な生活を強要した」と修正した。また、‘手引き’では従軍慰安婦が‘日本軍の性的奴隷の生活を強いられた女性’であることを明確にしている。その他、‘日本軍慰安所’の写真も載せられた。

 高校1年生の教科書には、‘韓国挺身隊問題対策協議会’の従軍慰安婦に関連した資料の一部が‘参考資料’として載っている。「“軍人の強姦行為、性病感染、軍事機密の漏洩を防ぐために”という名目で、韓国と台湾はもちろん占領地域の10万〜20万人に及ぶ女性を謀略と暴力で連行した」と、日本軍慰安婦の実状を盛り込んでいる。
鄭在娟(チョン・ジェヨン)記者

 

2001─日本の教科書/日韓問題
 

日本の歴史教科書をめぐる主な経過
  2001.4.3 文部科学省が教科書検定結果を公表
  2001.5.8 韓国政府が日本の歴史教科書に関し35ヶ所の修正を要求
  2001.7.9 日本政府が修正要求に対する検討結果を韓国政府に通報
  2001.7.12 韓国政府が日本大衆文化の追加開放中断を発表
  2001.7.13 韓国政府が日韓大学生及び教師の交流事業中止を発表
  2001.7.18 韓国国会が歴史教科書歪曲是正要求を決議
  2001.8.15 教科書採択終了

 <扶桑社教科書採択結果>
・ 公立学校… 5校、 23冊
・ 私立学校… 6校、498冊
( 計  11校、521冊 ) 採択率;0.04%