それから夏休みの間、外出時間を毎日少しずつ増やしながら、ライムにお留守番の練習をしてもらった。
外出することを強調するとライムに不安感を与えると思い、“行ってきます”などの声かけはせず、極力さりげなく出掛けるようにした。
この長い夏休みは、普段私達と離れて保育園で生活しているカズマにとっても大切な“家族時間”。
ライムが来たからといって、自分に対するパパやママの愛情に変化は無いということを、カズマ自身が感じてくれなければ、いくら口で説明しても無駄なこと。
そしていつか自発的に“ライムが来て、前よりもずっと楽しくなった”と言う気持ちが生まれてくれるように、私達も頑張らなくっちゃ!
プチお留守番開始数日後・・。
隣のおばちゃまから“出掛けはったらものすごぅ悲しそうに鳴いてるわ”とひと言。
・・・。
ごめんねライム。今からいっぱい遊ぼうね!
部屋に入ると、ライムは無いシッポを一生懸命にふって“アンアンッ!”と鳴いていた。
ライムが来てちょうど1週間経った。
私達は、職場へ保育園へと普段の生活リズムに戻る。
ただ前と違うのは、家でライムがお留守番をしているということ。
“部屋の温度は大丈夫かな?”
“寂しさのあまり鳴きすぎて倒れていたらどうしよう”などなど・・。
休みボケも手伝って、今日は仕事どころじゃないって感じだった。
午後4時。“お先に失礼しますっ!!”の声とともに、猛ダッシュで帰路に着く。
普段なら、帰りに買い物に行ったり、保育園にお迎えに寄ったりするのだけれど、しばらくは真っ先に家に帰ることにしていた。
私の顔が見えるや否や、サークルから飛び出しそうな勢いでライムは飛び跳ねていた。
サークル内はまるでトイレをひっくり返したような状態で、それを掃除しながら、早くも一人ぼっちにしていた罪悪感と、これからの生活への不安を覚える弱虫ママだった。
でも、新しい生活は始まっている。
どんなことがあっても後戻りは出来ない。
私達に出来るのは、早くこの生活リズムを掴むこと。
カズマの赤ちゃん時代だって相当大変だったけど、今ではその一瞬一瞬が全て懐かしく楽しい思い出に変わったから。
ライムの仔犬時代。
これも全部、大切な時間として大事に過ごさなくっちゃ!
獣医さん選びはなるべく慎重にしたかった。
人間の場合、近所の人の評判なんかを参考にすれば、内科ならあの先生、外科ならあの病院・・といった風に、ある程度のリサーチが可能だ。
まぁこれに関して言えば、たまたま自分に対してその医者が合わなかった、とか、無愛想で感じが悪かった、というだけで“あそこの先生はダメだ”ということになっている場合もあるから、一概にそれを信じていいとは限らないんだけれど。
でも、獣医さんとなると、これがなかなか難しい。
我が家の近所にももちろん犬を飼っている人はいるけれど、あまり話をした事のない人に、いきなり“どこの獣医さんに行っておられますか?”とは聞きにくい。
ましてや相手が口のきけない動物なだけに、本当の意見はわかりにくい。
近所に動物病院が一軒しかないのなら迷わずそこに行くかも知れないけれど、何軒もの中から選ぶには情報が少なくて大変だった。
結局パパがネットで探し出した病院とメールのやりとりを数回。
この病院の先生が丁寧なメールを返してくれたことや、診療時間外でも緊急の場合は診てくれる、という点が気に入って、ここに決めた。
家から少し遠い(車で15分くらい)ことが気にはなったが、メールの文章で感じた好印象を信じて、私達は2回目のワクチン接種にその病院へと出かけた。(12日目)
いろいろな人から注意されていたこと・・
はやっぱり避けた方が良いということだった。
ワクチンは、種類が多いから良いというものではなくて、住んでいる地域・散歩に行く場所なんかに合わせて決めるものだから、我が家がこれからどういう買い方をするのかによって変わってくる。
このお医者さんは、そのこともキチンと説明してくれた上で、京都市内での現況を説明し、我が家の状態(どんな所に連れて行くつもりですか?など)を聞いてから、“2回目に5種 3回目に5種または7種”を接種するよう勧めて下さった。(1回目のワクチンはパルボウィルスのみ、ブリーダーさんの所で受けています)
昨年開業したばかりというだけあって病院内はとても清潔な感じだったし、先生も最初の印象通りとても丁寧で良かった。
検温・体重測定・触診(これは全身をナデナデしながらだったので、来夢は気持ち良さそうでした)・検便(お尻で体温を測り、その体温計で検査)をして健康状態をチェックし、それから5種混合ワクチンをうってもらった。
初めての場所&状況にオドオドしていた来夢も、先生の顔をじっと見ながらとてもおとなしく頑張ってくれた。
注射のあとに、ご褒美として先生にオヤツをもらったのだけれど、今までオヤツなんて食べさせてもらったことの無い来夢が恐る恐る食べる様子がとても可笑しかった。(食べ終わると舌なめずりをしながら先生の顔をウルウルおめめで見つめているのも可愛かった♪)
診察台の横では、カズマが必死に“ライム頑張れぇ〜!”といいながら見守っていて、それもとても可愛かった。
ふたりとも、私の可愛い子供です♪ (^○^)
3回目のワクチン接種はそれから約1ヵ月後。(40日目)
芝生の公園なんかにも遊びに行くつもりの私達は、7種混合ワクチンをお願いした。
さぁ、来週からはいよいよお散歩開始。
今すぐにでも一緒にお外に遊びに行きたいけれど、ここはぐっと我慢して(笑)、近所をひと回りするくらいの“プチ散歩”から始めるぞぉ!
今日からいざ散歩に出よう!という時になって、ライムがそれを拒まないように、家の中で散歩の練習を開始する。
初期段階。首輪を嫌がらないように、我が家に来てすぐから、1日に数時間ずつ首輪を付けて慣らしておいた。
子犬はどんどん成長するのだから、最初からぴったりサイズの首輪を買ってもすぐに使えないようになる。
ブリーダーさんからは“リボンを結ぶだけでもいいよ”と言われていたが、可愛い物好きのぽわんママは、女の子チックな首輪を1つだけ買っていたのでそれを使った。(案の定、もうすぐ使えなくなりそう・笑)
初めて首輪を付けられた日は、2〜3歩置きに足で首まわりをカキカキしていたけれど、1ヶ月経った今では、さほど気にならなくなったのかカキカキしなくなった。
その首輪にリードをつなぎ、さぁ歩こう!とやってみたが・・・。
ライムは上目遣いで恨めしそうにこちらを見ながら、石のように固まってしまった。
チョイチョイっとリードを引っ張ってみたんだけれど、上目遣いのまま&石のまま・・。
おいおい!どうするんだぁ??
今度は意地になって、勝手に動くくらいの力でエイっと引っ張る。
すると仕方なく2〜3歩進んだライムだったけれど、前より恨めしそうな顔で私のことを見つめていた。
うぅ〜ん。これじゃぁ信頼関係が・・・。
とりあえず“しつけ本”とネットに頼る。
いろんな方法があるみたいだけど、一番効果がありそうなのはオヤツで釣ることだったので、今度は少し離れた位置で“ライムゥ〜♪”と優しく呼びながらオヤツをチラチラさせてみた。
・・・あたち、そんなにバカじゃないわよ(-_-) ・・・でもオヤツ美味しそうだわ♪
そんなことを考えていたのかどうかわからないけれど、少ぉ〜し悩んだあとで、ライムが自発的に近寄ってきた。
ラッキー♪ じゃぁ次はもうちょっと遠くから!
よっしゃぁ! 次はオヤツ持ちながら一緒に少し歩いて・・・。
よぉぉ〜し!! じゃぁオヤツ無しで♪
・・・あらっ?やっぱりオヤツ無しだとダメなの??
じゃ、もう1回オヤツ持って・・。ぎょえっ!飛びつかれたぁ!! ダメだよぉ来夢ぅ〜!
てな感じ。
1回の練習は5分以内。あまりやりすぎて散歩(っていうかリード)嫌いになられたら困ると思ったので、極力短時間で、繰り返しやってみることにした。
2〜3日後、何とか『Good!』の声をかけながら、一緒に歩けるようになった。
結構早い?(親ばか・笑)
とにかく、家の中での“散歩もどき”は、なかなか順調な出足だった。