弦楽四重奏曲 変ロ長調 K.172


ハーゲン四重奏団 (Deutsche Grammophon POCS1096/8)
 師走を迎えてモーツァルト生誕250周年記念の2006年も残り僅か。もう少したくさんの曲についてMIDIを作り,そして私なりの感想を書きたがったが時間の過ぎるのは早い。しかし,2006年という年は私にとって,”聴くことよりも実際に演奏すること”のうえで,非常に実り多い”モーツァルト・イヤー”であった。 小西収さんが指揮するアンサンブル・フロイントというアマチュア・オーケストラに加えさせていただくことによって,第31番「パリ」,35番「ハフナー」,38番「プラハ」,そして3大交響曲,39番,40番,41番「ジュピター」を演奏することができ,モーツァルトの交響曲の素晴らしさを”実体験”することができた。さらに,幸せなことにはオーケストラの中で,カルテットを心から愛する素敵な人たちと出会うことができ,ハイドン・セット,プロシア王セットの曲をはじめ,たくさんのモーツァルトのカルテットを楽しむこともできた。モーツァルトの初期のカルテットは聴くよりも自分で弾いた方がずっと楽しい。
 
さて,この曲は今年は弾くことができなかったが,「ウィーン四重奏曲」の5曲目である。私は終楽章のアレグロ・アッサイがとくに好きだ。冒頭の下次順次進行の後に,いかにもアッサイといった感じの活発な音楽が展開する。推移部と展開部では3連符が主役となって縦横無尽に走り回る。後年のハイドン・セットの名作K.465「不協和音」の終楽章を予見させるかのような素晴らしい音楽だ。

*MIDI:第4楽章(Allegro assai)