Away in a manger
ノート
"Away in a Manger"(まぶねの中で)には2つの有名な曲があり,日本やアメリカではマレイ(1841-1905)作(1887)の曲の方がポピュラーだが,英国ではもっぱらカークパトリック(1838-1921)作(1895)の曲が歌われる。おなじみのドタバタ・コメディーメリー・クリスマス・ミスター・ビーンでは小学生の子どもたちがビーンの玄関先で歌っていたし,テレタビーズのクリスマスビデオでも幼い子どもたちがこの曲を一生懸命歌っているシーンがあった。私が英国びいきであることもあるけれども,英国にいるとき長男がお気に入りの曲だったこともあって,カークパトリックの"Away in a Manger"は,我が家では最も思い出深い英国キャロルの一つである。しかしながら作曲者のWilliam James Kirkpatrickは実は英国人ではなく,米国のペンシルヴァニア生まれのアメリカ人である。フィラデルフィアのメソジスト教会に属する作曲家として生涯に約50もの聖歌を残した。その中でも,このキャロルは夢見るような幸福感にあふれた彼一世一代の傑作といえよう。
ところが実は第3の"Away in a Manger"があるのをご存知だろうか。巷でもときどき聴くし,我が家にあるバイオリン用のクリスマス曲楽譜にも入っているのだが,作曲者は19世紀のアメリカ人教会音楽家スピルマン(J・E・Spilman; 1812-1896)。スコットランドの詩人ロバート・バーンズの詩"Sweet Afton"に曲をつけた(1838)ことでも知られる。スピルマンの"Away in a Manger"はマレイ,カークパトリックのものほど有名ではないが,これもなかなかいい曲である。
MIDIによる聴き比べ
カークパトリック編