Good King Wenceslas


 "Good King Wenceslas"(慈しみ深き王ウェンセスラス)の曲は13世紀の春の季節のキャロル"Tempus adest floridum"にもとづいている。このキャロルは,74の歌を集めたフィンランド語の聖歌集"Piae cantiones"(1582年にPetri Nylandensisが出版した)の中に見い出すことができる。19世紀半ばになって,英国の偉大な賛美歌作者John Mason Neale(1818-1866)がこの本の中に収められたキャロルの多くに英語の歌詞をつけた。"Good King Wenceslas"もその一つである。
 このキャロルは,イエスの降誕が歌われないという点で異色のキャロルである。歴史上の"Good King Wenceslas"は10世紀ボヘミアのカトリック王で,貧しい人々に食べ物を施すなどの慈善的な行いをした善王であったとされる。"Good King Wenceslas"の1番の歌詞で歌われている聖人は,聖ステファンである(下記歌詞参照)。聖ステファンの祝日は12月26日(英国のボクシング・デイにあたる)であり,これこそ"Good King Wenceslas"がクリスマス・キャロルとして歌われる理由なのである。

Good King Wenceslas looked out,
On the feast of Stephen,
When the snow lay round about,
Deep and crisp and even:
Brightly shone the moon that night,
Though the frost was cruel,
When a poor man came in sight,
Gath'ring winter fuel.