「ハギス缶」試食記


スコットランドのStahly Quality Foods社のハギス缶詰ラベル 

The Baileysのゆうこさんがハギス愛好会を発足させました。入会フォーム(BBS)もあります。是非参加してくださいネ!




松江の県立美術館でスコッチ・ハギスの缶詰を買う
 スコットランドの名物料理ハギスは英国滞在中の私たちの大好物であった。といっても,本場のスコットランドでハギスを食べたことは一度もない。うちがいつも愛食していたのは,大手スーパーWaitroseが販売していたものである。帰国以来日本ではハギスにお目にかかることもなく(今後も日本で人気商品となることはまず考えられない),もう一度食べたいなあと思いつつ,思いを果たせないでいた。ところが,2001年の初春に島根県立美術館で開催されたアバディーン美術館展にちなんだ美術館内のフェアで,偶然スコッチ・ハギスの缶詰を販売しているのを見つけたのである。一缶千円なり。量は450グラムだが,漬け汁を除いた正味の量は270グラムである。100グラム370円ほどに相当するが,これを高いと思うか安いと思うかは買う人によるだろう。うちの場合,英国で買うのより大分高いなと最初は感じたものの,ハギスをもう一度食べたいとの思いを抑えることはできず,少し悩んだ末に買うことにした。田舎の松江でこのチャンスを逃すと,いつ手に入るか分からない。製造しているのはスコットランドのGlenrothesにあるStahly Quality Foods社である。東京の(株)スコッチモルト販売が輸入している。Stahly Quality Foods社のサイトを見ると,Scotch Haggisのほかにも,Royal Haggis with venison,Drambuie Haggis,Royal Glenturret Haggisといったいろいろなハギス商品があって見るだけでも楽しい。でも本国のハギス缶がうちが買ったのと違い,六角形の形をしているのはなぜ?

「こどもの日」に食する
 さて,ハギスの缶詰を買ったはよいが,すぐに食べてしまうのはもったいないという思いもあり,2ヶ月近く棚に眠っていたのであるが,長男が大のハギス好きということで,「こどもの日」にハギスを食することにした。長男は前日から「ハギス,ハギス!」と大騒ぎである。もしかしたら,子どもに全部食べられてしまって,大人にはほとんど当たらないかもしれない…という嫌な予感が頭をかすめつつ(この予感は残念ながら的中してしまった),いよいよ調理に取りかかることとする。といっても,缶の中味を出してお湯でゆでるだけの話である。

  1. 缶切りで蓋をあける。ハギスの塊はラードのような汁に漬かっている。ハギスを入れた「袋」は,どうやら本物の羊の腸ではなく,ビニールのようである。缶詰だから仕方ない。袋の外側にはべったりとラード?がくっついている。見た感じと,においから,おいしいハギスと確信する。
  2. ハギスの「袋」を缶から出し,お湯を沸かした鍋に放り込み,弱火で35分間煮る。調理法の注意書きには"DO NOT BOIL"(沸騰させるな)とある。弱火でとろとろ煮る(simmer)のが肝要。
  3. お湯からハギスの袋を引き出す。すごく熱い。包丁で切ろうとするが袋が油ですべってうまく切れない。結局,袋の端をハサミで切り,手で絞り出す。ハギス独特のおいしいにおいが漂う。
  4. チェダー・チーズ,レタス,トマト,アスパラ等を付け合せにして,熱いうちにひたすら食べる。説明によれば,伝統的にはマッシュド・ポテトやかぶらと一緒に食べるのだそうだ。また,説明には,とろけるチーズをのせたバター・トーストの上にかける食べ方も載っている。たしかに(トーストはないが)チーズとの相性は抜群だ。ハギスは日本で言えば挽き肉の「そぼろ」みたいなものだから,英国では「ドライカレー」もどきの「ハギス・ライス」として,炊き立てのご飯にかけてよく食べていた(これもおいしい!)。
  5. ハギスはスコットランドの食べ物だけあって,説明には「スコッチ・ウィスキーのつまみに最高」というようなことが書いてある。好みにもよるのかもしれないが,うちの場合熱々のハギスにはやっぱりビールだ。スコットランド製のビールではないが,同じケルトの国,アイルランドのよく冷やした「ギネス」が合う。St Aubinsでの夕食を思い出した。
  6. 予想通り長男がものすごい勢いでハギスを食べる。結局,親たちは味見程度にしか食べられなかった。今日は「こどもの日」だから仕方ないか…しかし,英国から遠く離れた日本で,それも田舎の小都市松江で,ハギスが味わえるとは何と幸せなことだろう!


(左)茹であがった直後のハギス。熱い上につるつるすべるので,注意が必要。
(右)付け合せのチーズ(中央)や野菜類と一緒に並べたハギス。英国で買ったロイヤル・ウースターの大タルト皿がちょうどよかった。しかし,ハイエナのごとく,15分ですべてなくなる…


 後日の調査により,このハギス缶は電話一本で輸入元から取寄せ可能であることがわかりました。支払方法は宅急便の代引きです。

 販売元: スコッチモルト販売(株)
  Tel: 03-3579-8587  Fax: 03-3961-1194
 価格: 1缶800円(3缶単位の購入をお願いしますとのこと)
 送料(地域によって異なります)・代引き手数料: 6缶の場合で計約1200円

8 May 2001