The Seven Joys of Mary


 この曲もどちらかというと英国以外ではあまり歌われない「英国ドメスティック」なイングリッシュ・トラディショナル・キャロルである。"God rest you merry, gentlemen"と同じく,このキャロルの歌詞が日の目を見たのは,William Sandysの"Christmas Carols Ancient and Modern"(1833)による。 曲も完全にトラディショナルで作者不詳の古いものであるが,これを編曲したのは,"God rest you merry, gentlemen"を編曲したことで知られるJohn Stainer(1840-1901)で,"Christmas Carols New and Old"(1871)に収められている。
 このように歌詞,曲ともに出典からいえば"God rest you merry, gentlemen"と姉妹曲と言ってもいいくらいなのだが,"God rest you merry, gentlemen"とは対照的に憂いの影は微塵も感じられず,はずむようなリズムの明るいキャロルである。ボーイ・ソプラノの合唱で聴くと大変美しい曲だ。なおCDでは「マリアの七つの喜び」などと邦訳されているが,日本の讃美歌集には残念ながら収められていないようである。