獅子ヶ鼻砦

砦址は小笠町大石にあり、高天神城の東方約3.3㎞、半島状台地の先端部に位置している。山の形が獅子の頭に似ているところから付けられた砦名といわれているが、鹿ヶ鼻とも書く。
『三河物語』に｢天正7年己卯(つちのとう)の春、田中へ御はたらき有て、なゑ(苗)をなぎ(薙)て引給ふ。同年高天神の取出、中に二ツ、同しゝがはな(鹿ヶ鼻)、同なふが坂(能ヶ坂)に取出を被成ければ、をがさ(小笠)、大坂、中村に二ツ、しゝがはな、なふが坂以上六ツ取出をとらせ給ふ｣とある。『高天神記』には、天正8年6月に前記六砦を築いたとの記載がある。また『横須賀根元歴代明鑑』には、｢私云天正九年三月二十二日夜高天神城御攻落、城兵七百余御取被遊候、城の大将岡部横田は大久保七郎右衛門持口を切抜んとて岡部は討死し、横田は甲州へ退候、右の城攻被遊候節八ヶ所より向城有之候、岡崎に権現様(徳川家康)御本陣を被居候、中村安威獅子ヶ鼻火ヶ嶺四ヶ所は五郎左衛門殿(大須賀康高)受持、能ヶ坂は本多豊後守持、風吹は石川日向守持、大坂村は酒井与四郎持、諸方にて毎度手ひどく御合戦有之候、五郎左衛門殿は持口多御座候故、横須賀衆は別に骨折毎度手に合申候｣とある。以上の史料から、獅子ヶ鼻砦は天正年間に家康が高天神城を攻撃するために用いたことは確かである。しかしそれ以前になんらかの土台となるべきものがあり、家康がそれを改築したとも考えられるが、明証はない。現存する史料には砦を｢被成けり｣あるいは｢とらせ給ふ｣と表現され、獅子ヶ鼻砦は天正7年春から8年7月までに築かれたと考えられ、大須賀康高の持ち口であったとみられる。これら六砦は成瀬吉右衛門正一を主将、日下部兵右衛門定好を副将として昼夜一度ずつ巡回が行われ、敵にも味方にも厳しい警戒態勢がとられた。
（日本城郭大系より）

高天神城跡より東へ約3㎞、菊川市大石の半島状に突き出た台地先端部に位置し、曲輪・堀切が一部残存している。また、｢獅子ヶ鼻砦フィールドアスレチック｣として公園化され、案内板・説明版等が設置されている。
（パンフレット資料より）

獅子ヶ鼻砦は徳川家康が高天神城を攻略するために築かせた6つの砦の一つです。高天神城攻略のための拠点は横須賀城ですが更に高天神城と駿河との連絡を遮断するために築かれたのが6つの砦なのだと思います。高天神城の東側を取り囲むように砦が築かれ、そのうち獅子ヶ鼻砦は最も東に位置していて菊川市でした。蓮池公園内で、以前はフィールドアスレチックがあったそうなのですが今では施設は解体されていて使用不可となっていました。