韓国・ハルモニたちの発言
「慰安婦」にさせられた女性たちは運動の宣伝物でも救済対象でもない。
自分の戦いをたたかっている。
*参考資料
「日軍慰安婦生活安定支援法」〔1993年〜)適用対象者(認定者)は207人、そしてそのうち死亡は72人、生存135人。──2002.10.現在 韓国政府・女性部
104人死亡/登録者225人──女性家族部2005.12
 

抗議書簡

 アジア女性基金事業は、日本政府と日本国民が協力し道義的な責任意識のもとに、日本政府の謝過と日本国民の良心に立脚して、従軍慰安婦被害者にわずかしか残されていない余命に少しでも助けになるようとの支援目的で行われていると承知しております。また、被害者である私たちハルモニは本意ではなく他意によってアジア女性基金を受け取れないのであり、アジア女性基金を受け取った7名のハルモニたちもまた運動圏団体の妨害で日本から慰労金を受け取ったと、7名のハルモニたちの胸に再び釘を打つような仕打ちを私たち被害者は見てきました。
 どのような奴の差し金なのかわからないが、同じ被害者である7名のハルモニたちにも私たちと同様、3150万ウォンを支給されるよう要望します。

 私たち(の)政府の公式的立場は、金大統領が政府予算で被害者ハルモニたちに、3800万ウォンの支援金を支給するよう指示されましたが、一部の無分別な団体が権力を動員して、被害者ハルモニに対し日本のアジア女性基金を受け取ることができないよう誓約書に捺印して受け取るよう公務員に圧力をかけ、すでにアジア女性基金を受け取った7名のハルモニに対しては、日本から受け取った慰労金を日本に返還すれば韓国政府からの支援金を出すとそそのかしている状況です。

 ところで韓国政府は、日本に対し女性のためのアジア平和国民基金の慰安婦出身女性たちに対する補償金支給を中断しろと要請し、中断しない場合には韓日間の賠償問題が提起されるという意思を明らかにしたという。このようなことをどのような奴が言ったのか。外交的なあつれきで秘話とされることを憂慮し、公文の代りに口頭で立場を伝え、女性基金に慰霊塔とか記念館を設立することが望ましいと勧めた奴が誰なのか、ずたずたに引き裂いて殺したとしてもその憤怒は残るだろう。

 金大統領は私たちハルモニの立場を最もよく理解されている方だと私たちは思っており、大統領は公式、非公式であれ、被害者の立場を無視した外交はされないでしょうし、韓国には「雌鶏が鳴けば家が滅びる」という諺が古来からあり、雌鶏に驚いた無自覚な外交官の輩が過剰な忠誠を示そうとして、日本政府や「アジア平和国民基金」に被害者ハルモニに対する慰労金という本来の目的をはずさせ、まだ生きているわれわれの慰霊塔や記念館を設立させようとすることは、再び、許すことのできない罪を重ねることになるだろう。
 1965年の韓日条約は、韓国政府と日本政府が、被害者の反対を押し切り、誤った方向で推進されたため、今日まで韓日国民の感情が解けないままになっていることを、日本政府やアジア平和国民基金は忘れてはならない。

 私たちハルモニたちも、どのような団体の利用物にされないよう結束して集まりを持ち、これからはハルモニたち自らが解決を図る計画です。日本政府やアジア平和国民基金が、雌鶏の鳴き声に驚いた外交官の輩の過剰忠誠に応じるならば、われわれハルモニたちは日本断罪のため、国連は勿論のこと世界各国に日本糾弾をするようになる。そうなれば韓国国民の憤怒は一層強いものになるでしょうから、軍慰安婦、挺身隊ハルモニたちの人権と自尊心を踏みにじらないよう、日本政府、アジア平和国民基金は、被害者ハルモニたち各自の自由に任せるようお願いするものです。

 日本軍慰安婦ハルモニ一同 1998年8月15日
 

*訳・原文のまま
*韓国の元「慰安婦」たちはアジア女性基金に反対して受け取らないと伝えられる。「基金」ではなく国の補償でなければならないと運動団体が主張したいたいがために、運動としては当事者が反対していることを根拠にしようとする。
 そのため「基金」を受け取ったハルモニたちや、自分が自由に選びたいと思うハルモニたちは無視され、「圧力」をかけられる。「アジア女性基金」に反対するのが正しいという「立場」や「運動」のために。だが、相当数のハルモニたちは、98年夏から、自ら声をあげるようになっている。被害者一人ひとりの声を聞かず、情報、情勢判断を軽視して正義、原則をかかげる”イデオロギー”的な運動(個人は否定され集団一色)は相変わらず一部で根強いが、被害者ではない者たちが最後まで主役のようにふるまいつづけられるかどうか。


 
 

アジア女性基金を受け取った人のインタビュー
 1997年1月13、14日報道(1月7日「基金」を受け取ったあと)

東亜日報13日 金田君子さんインタビュー
 500万円を受け取ることにした金田君子(77歳)ハルモニは、月36万ウォン(国家25万、区庁8万、道事務所3万ウォン)を受け取っている。金田ハルモニは、「この金ではアパート賃借料と電気水道電話料金を出すのも難しい」と述べた。
 …「病院に入院した時も政府や団体のだれ一人電話一本もかけてこなかった」、「だが基金側の人々は一月に何度も訪ねてきた。その苦労が申しわけなく、受け取ることにした」と語った。4年前からごはんが食べられない。歯もなく消化機能も弱ったためである。あちこちが痛み、鎮痛剤がないと朝起きられない。アパート上の階の家内工場のため夕食もよくとれない。それで、500万円をもらえば、単独住宅をチョンセして、移る計画だと明らかにした。
 …国内の生存被害者は160名だ。かれらは、つぎつぎに死んでいっている。

ソウル新聞14日 受け取った元「従軍慰安婦」インタビュー
 「いつ死ぬかも知れない状況が迫っている私としては、仕方ない選択でした」。李副禮氏は、最近、日本の民間団体から500万円を受け取ることにした経緯について淡々とした語調で説明した。日本の自民党政府は、…謝罪しておらず、今後も行わないようであり、基金側の今回の提案を受け入れた、と付け加えた。「同団体が数年間われわれのために基金を集め、真の謝罪を示してきたが、われわれが北海道を5回にわたり日本に謝罪を要求したとき、韓国大使館側からはただの一度の慰労の言葉もなかった」と韓国政府の「無誠意」を非難した。

韓国日報 金君子氏は13日、電話でその際の状況を明らかにした。「日本全体をくれるといわれても、われわれが死んだあとでは何の意味があるのか。日本政府を相手とする国家補償は実現不可能であると思われる。韓国政府や民間団体が日本政府や国連を相手として国家補償を推進しても、100年戦っても日本政府は絶対賠償しないだろう」

*東亜日報、ソウル新聞、韓国日報はいずれも韓国内で発行されている日刊新聞。
*支給金額は当時。現在、国から毎月50万ウォン(約5万円)の生活安定支援金が出ている。


 

「挺対協」と10年騒いで何も効果なかった…
「慰安婦記念館建設を」──元慰安婦の70代女性が主張
    朝鮮日報 : 2004/10/22

「日本を全てあげると言われても、お金では解決できない。日本政府の真の謝罪と、それによる賠償がなくてはならない」 「日本に良心があるなら、韓国に(慰安婦関連)記念館を自ら建てるべきだ。しかし謝罪する気持ちがない日本がそうするわけがない。そのため韓国政府に記念館を建ててほしいということだ。こうしたことが繰り返さないように」

 22日、国会・統一外交通商委員会の外交通商部に対する国政監査で日本軍慰安婦として連れていかれたというキル・ウォノク(77)さんの証言が会議場を粛然とさせた。
 権永吉(クォン・ヨンギル)議員(民主労働党)の要請で国政監査場に証人として出席したキルさんは「今、余生がいくらも残っていないが、これまでの恨(ハン)を晴らせてほしい。一言でも謝罪の言葉を、真実の謝罪の言葉を聞くのが願いだ。真の謝罪を受けたい。皆さんに助けて欲しい」とハキハキとした語調で話した。
 キルさんは続いて「皆は(1945年に日本の敗戦により韓国が日本の植民地支配から)解放されたといって『大韓民国万歳』を叫んでいたのに、私たちは隠れているしかなかった」と過去を振り返った。
 また「10年以上も(挺身隊対策協議会とともに)騒いでも、何の効果もない」とし、「盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が(慰安婦問題に)乗り出してほしい」と要請した。

 ハンナラ党の田麗玉(チョン・ヨオク)議員は「“従軍慰安婦”(comfort woman)という表現は適切でなく、“性奴隷”(sexual slave of Japanese army)に用語を統一すべき」と求めた。これに対し韓国挺身隊問題対策協議会は「“従軍慰安婦”という言葉は正しい表現ではなく、日本軍“慰安婦”に統一している」と訂正した。
 権議員は「国を奪われ13歳で慰安婦に連行されなければならなかったお婆さんを(国政監査の)証人に招いた現実が」とし、「(慰安婦)記念館建設は子孫たちの正しい歴史教育と過去史清算のため絶対に必要だ」と強調した。
 潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官は「政府の責任を大きく感じ、戦争時に性的奴隷行為を強制したのは国際法に反する重大な不法行為」とし、「今でも日本政府に責任があると考え、過去を直視しこれを基に日本と未来志向的な関係を築いていきたい」と述べた。
 国会・統一外交通商委員会はこの日午後、ヨルリン・ウリ党の韓明淑(ハン・ミョンスク)議員が発議した「日本軍慰安婦の名誉と人権回復のための歴史館建立」決議案を満場一致で採択している。──チョソン・ドットコム

▽「日本軍慰安婦の名誉と人権回復のための歴史館建立」決議、2004年11月12日韓国国会で決議
▽2004年9月6日施行「日帝強占下強制動員被害真相糾明等に関する特別法」
  国務総理傘下に設置された真相究明委は、各市・道の実務委員会で被害の申告を受け、真相調査を始める。真相究明委はまた、遺骨発掘および収集、犠牲者お
       よび遺族の審査・決定、資料館および慰霊空間の造成等を推進し、強制動員被害と関連した国内外の資料を収集・分析する。チョン・ギホ慶煕大名誉教授が委
       員長。



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