弦楽四重奏曲 ハ長調 K.170


ハーゲン四重奏団 (Deutsche Grammophon POCS1096/8)
 
モーツァルト初期の弦楽四重奏曲集である「ウィーン四重奏曲」の3曲目。この曲で注目すべきは,何と言っても第1楽章に,主題と4つの変奏曲からなるアンダンテの楽章を置いたところにある。モーツァルトの弦楽四重奏曲で変奏曲が有名な曲には,「ハイドンセット」のK.421の第4楽章や,K.464の第3楽章がある。このような後年の円熟した作品に比べれば,曲の規模は小さく,変奏曲自体もずっと単純である。テーマ自体も先輩ハイドンの作品2-6の変奏テーマを一部借用したものである。その他の楽章もハイドンの音楽を思わせる。このころのモーツァルトは,弦楽四重奏曲に関してまだまだ試行錯誤の段階で,モーツァルトらしさを十分発揮するには至っていなかった。それでも,この曲は聴いて楽しい,弾いて楽しい!

*MIDI:第1楽章(Andante)