Proms MIDI Collection


 毎年9月の第2土曜夜(日本では日曜早朝)にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われるプロムス・ラストナイトのコンサートでは,毎年変わる趣向をこらしたプログラムのほかに,必ず演奏される「定番曲」というものがある。実はその年の特別プログラムよりも,こうした定番曲を聴くのが目当ての客の方がずっと多いのではないだろうか。プロムス・ラストナイトは純然たるコンサートというよりは,むしろ愛国的な一つのイベントであり,定番曲ではユニオン・ジャックの旗を振りながらオーケストラと一緒に歌う(絶叫する)多くの英国人の姿が見られるのである。日本人である私も,テレビでプロムスを見ていて定番曲が始まらないとなんだか落ち着かない。とくに「ルール!ブリタニア」をどんな歌手がどのように歌うのかは,私にとって毎年大きな楽しみの一つである。テロ事件の影響で軒並み定番曲がプログラムからはずされた2001年のプロムスなどは二度と御免だ。
 すべてではありませんが,プロムス・ラストナイトの定番曲のMIDIを集めました。ごゆっくりお楽しみください。


Pomp and Circumstance March No.1 (The Land of Hope and Glory)
威風堂々(希望と栄光の国)

 *あまりにも有名な「威風堂々」の中間部のメロディー。これに歌詞をつけた愛国賛歌が"The Land of Hope and Glory"です。これをプロムスで歌わないと気がすまない英国人も多いことでしょう。



Rule, Britania
ルール!ブリタニア

 *詳しいことは解説を見ていただくとして,「定番曲」の中で音楽として最も私が好きな曲。「サビ」の部分がかっこイイ。



Jerusalem
エルサレム

 *プロムスで演奏されるのはヒューバート・パリー(1848-1918)の原曲ではなく,エルガーが編曲したもの。いずれにしろとても美しい曲ですね。詞は18世紀の大詩人・版画家ウィリアム・ブレイク。この曲でイギリス映画「炎のランナー」を思い出す方も多いでしょう。  



God Save the Queen
英国国歌

 *2002年のサッカー・ワールドカップでは,札幌でも大阪でも大勢のイングランド・サポーターが熱唱していました。最初の国歌合戦ですでにアルゼンチンは負けていましたね。「エルサレム」同様,映画「炎のランナー」で印象的に使われていました(フィールドに入れないアラブ人のコーチがフィールドの中から聞こえてくる国歌で主人公が優勝したことを知るシーン)。



Auld Lang Syne
蛍の光

 *コンサートの最後に観客が歌う「蛍の光」。イングランド礼賛の色が濃いプロムスなのに,最後の最後になってスコットランドの愛国国民詩人ロバート・バーンズの歌が歌われるのを少し皮肉に思うのは私だけでしょうか。