Experiences in Preserved Trains

 英国は鉄道発祥の地である。人々は心から蒸気機関車を愛している。日本と違い,ボランティアによる保存活動も活発である。しかも,ただ鉄道を保存し,走らせるだけではなく,様々なイベントを催したり,レストランや売店を経営したり,ボランティアが一丸となって運営に力を注いでいる。地域のボランティアに大事にされている蒸気機関車たちはどれもピカピカに磨かれ,黒一色の日本の機関車とは違い,赤,緑,青といった美しい塗装を施され,優雅で繊細な姿でファンの目を楽しませてくれる。英国は,蒸気機関車のファンにとって,まことに天国のような国といえよう。以下は,英国滞在中に私たちがBath近郊の保存鉄道を訪ねた際の記録である。

INDEX
■West-Sommerset Railway
■Brecon Mountain Railway
■South Devon Railway
■East Sommerset Railway
■Avon Valley Railway
■Gloucester Warwickshire Railway
■Romny Hyth Dimchurch Railway
■Swindon Great Western Railway Museum
■Dean Forest Railway
■Bluebell Railway
■Snowdon Mountain Railway
■(番外編)公園で活躍する小さな蒸気機関車たち


West-Sommerset Railway (4/7/98)
 Bathの南西,Exmoorにある保存鉄道。距離が結構長く往復2時間ぐらいのたびが楽しめる。どこの保存鉄道でもそうであるが,一年に2度ほど機関車Thomasとその仲間たちがやってくるイベントがある。私たちがここを訪れた日はちょうどそのイベントにあたっていた。機関車Thomasはイギリスの保存鉄道をモデルにしているものである。そして子どもたちはやっぱりThomasが大好きである。Thomasだけでなく意地悪ディーゼルもいる。普通の機関車にただ鉄の顔の絵を描いた丸いプレートをつけただけの怪しい「仲間たち」も走っているが,子どもたちは大喜び。我が子もThomasに乗って大はしゃぎであった。しかしながら,英国の保存鉄道は,このような子ども向けのアトラクションというより大人が楽しむものである。仲の良さそうな老夫婦が手をつなぎながら,やってくる場合も多い。老若男女を問わず皆が蒸気機関車を愛していることを感じる。


Brecon Mountain Railway (25/7/98)
 ウェイルズにある保存鉄道の一つ。湖や小高い丘を眺めながらの汽車旅はとても楽しい。イングランドと違ってウェイルズは土壌があまりよくない上に,山が多い地形である。そんなせいかウェイルズには羊がたくさん放し飼いにされている。Bathから車で1時間ぐらいのところにあるのだが,景色が全くイングランドと違うのには驚かされる。ただ,ウェイルズには良質の石炭が産出したこともあり,面積の割にはたくさんの蒸気機関車が保存されているといえよう。またこの鉄道の客車は日本でいうトロッコ列車の雰囲気があり,子供たちも大喜びであった。牽引する蒸気機関車も小型のかわいいものであった。


South Devon Railway (1/8/98)
 デボンの美しい田園地帯を走る保存鉄道。Bathから距離的には遠いがM5を利用すれば十分日帰りできる。あちこちの保存鉄道で実際に活躍する機関車Thomasが置かれていたので,子どもたちは興奮していた。小さなタンク式機関車だと思っていたが,実物は大変大きく圧倒されるほどである。この鉄道の近くにはカトリックの壮大なバクファスト寺院がある。建物はもとより,内部の修道士によって作られたという壁いっぱいの大きさのステンドグラスは一見の価値がある。日本では絶滅の危機に瀕しているカワウソを保護しているところもあるので,家族で行かれてみてはどうだろうか。


East Sommerset Railway (13/8/98)
 保存鉄道としては景色が平凡であまりよくない。のんびりとした雰囲気で往復1時間ぐらい。私たちがのったのは5637型機関車であった。Bathより車で小1時間。英国の田舎町としてはコッツウォルズがダントツに有名ではあるが,この鉄道のそばにはWellsを中心に雰囲気のよい田舎町があり,保存鉄道乗車とあわせて1日観光にちょうどよい。


Avon Valley Railway (31/8/98)
 BathからBristol方面に30分ぐらい。手軽な場所にある保存鉄道。鉄道というより外周列車というイメージの小さな鉄道である。とはいっても本物の汽車が走っているのだ。ここの隣には子どもたちがのびのびと遊べる公園があり,ナーサリーやインファントスクールの遠足によく利用される。また春にはべリー・ピッキングができ,家族連れにはお奨めのスポットである。



Gloucester Warwickshire Railway (17/ 10/98)
 コッツウォルズ地方にある保存鉄道。私たちが乗ったのはかなり大型のテンダー型蒸気機関車であった。ちょうど秋のSteam Fairをやっており,蒸気機関車だけでなく蒸気自動車も展示されており,すごく寒かったにもかかわらずたくさんの人たちで賑わっていた。蒸気自動車というのは 機関車Thomasの仲間のトレバーと似たものである。イギリスでは,ときどきこの蒸気自動車が一般道を走っていることがあり,古いものを本当に大切にするお国柄なんだなあと感心させられる。


Romny Hyth Dimchurch Railway (25/10/98)
 「カンタベリー」の旅行記をご覧下さい。


Swindon Great Western Railway Museum (1/11/98)
 London Paddington からBristol方面に走るGreat Western Railway(GWR: 現在はGreat Western Train)所有の博物館である。もともと大きな車庫があった場所で,今はショッピングセンター街になっていて,たくさんの人で賑わっている。ここにはGWRで活躍した往年の名機関車たちが眠っており,日本でいうと京都にある梅小路機関車区のような感じのところである。


Dean Forest Railway (28/12/98)
   ウェールズとイングランドの境界あたりの森林地帯を走る保存鉄道である。どの保存鉄道でもそうなのだが,昔のコンパートメント(一等車)が使われ,レトロな雰囲気であり,蒸気機関車に乗っているという気分を一層盛り上げてくれる。蒸気機関車は蒸気の湯気が美しい冬もまた魅力的なものである。また,林の中では森林の雰囲気,牧草地帯では田園的な雰囲気が楽しめる。乗用車では経験できない素晴らしさがある。



Bluebell Railway (21/2/99)
   機関車Thomasで登場するStepneyの出身地として有名な鉄道である。保存鉄道運動の先駆的存在。ブルーベルの咲く頃にまた乗ってみたい。ここの駅舎は大変古いレンガづくりの美しい建物である。乗る前から期待感をそそられる。駅舎では軽食も取れるようになっており,また小さな博物館もある。

 私たちが行ったときには,有名なGolden Arrow号や,豪華なレストラン・プルマン・カーも見ることができた。蒸気機関車に乗りながら食事するなど最高の気分だろう。ヴィクトリア時代にタイム・スリップできそうだ。ただし予約制なので,運行日と時間はチェックする必要がある。肝心の車窓の風景であるが,残念ながら季節的にブルーベルの花は見れなかったが,さすが人気のある保存鉄道だけあって,実にのどかで美しい。有名な海辺の保養地ブライトンの近くにあり,興味のある方は是非お訪ねください。


Snowdon Mountain Railway (27/3/99)
 ウェールズの豊かな自然を象徴するSnowdon山にある登山鉄道。ただし,10月中旬から3月中旬までは休止期間で,しかも頂上まで行くのは夏の間だけである。しかしながら,ごつごつした岩や羊がのんびり草を食んでいる様子を眺めながら汽車で山を登っていくのは実に風情がある。私たちが乗った3月の末,山頂はまだ雪景色であった。また,英国での唯一のアプト式鉄道であり,ゆっくりゆっくり客車を押す姿はなんとなくかわいい。小型の機関車で客車は一両だけであるが,景色の素晴らしさは保存鉄道で一,二を争うものだと思う。Snowdonに行ったら是非とも乗ることをお奨めする。



(番外編)公園で活躍する小さな蒸気機関車たち



Longleat House
 「トラベル・ダイアリー」の「バース近郊」をご覧下さい。


Rode Tropical Bird Gardens (Road, nr Bath)
 たくさんの種類の鳥がいる広大な公園。また小さなかわいい蒸気機関車も子供たちの人気の的である。


Woodland Park & Smoky Oak Railway (Brokerwood, nr Westbury, Wiltshire)
 森林公園の中をディーゼルトロッコ列車が走る。

Dobwall (Devon)
 トラベル・ダイアリーデボン・コーンウォールをご覧下さい。3,4種類の小さな機関車(ディーゼル)が走っている。
 


Eastborne Miniature Railway Adventure Park (Lottbridge Drove, Eastborne)
 本当に小さくても正真正銘の蒸気機関車。小さくても結構力持ちで,たくさんの子供たちを乗せて,公園内を回っている。
 イーストボーンについてはトラベル・ダイアリーカンタベリー・ブライトン・イーストボーンをご覧下さい。
 


保存鉄道についての詳しい資料は徐々に増やしていく予定です。