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第7回 『ベースの役割』
  [ ベースは暗い? ]
 いろいろな楽器が世の中にはありますが、低音楽器ほど、地味で人気のない楽器はないでしょう。バンドなどを組むときなど、ベースを誰が担当するかでもめたり、あるいはベース担当と強制的に決められたり。私もその口で、無理やりベースの担当にされたこともありました。おかげでいろいろな楽器が演奏できるようになったのですが。
 皆さんはロックバンドを見ていて、ギターとボーカルは花形で、ドラムもかっこいい、ベースは暗い、良く思われたとしても渋い、なんて感じてはいませんか? 確かにそう見えるのはわかりますが、実はベースこそが音楽表現を豊かにするカギを握っているのです。

  [ ベースの役割 ]
 ベースという楽器には3つの役割があるのです。1つめは、楽曲のハーモニーを作ることです。ハーモニーとは2つ以上の音が合わさってできるものですが、バンドなどの場合、普通は2つ以上の音が発せられます。この時、一番下のパートを受け持つのがベースになるのです。ここがしっかりしていないと、全体がバラバラに聴こえたり、あるいは違う音程を発すると、全く違うハーモニーになったりするのです。
 ベースの役割としての2つめは、ドラムのベードラとともにリズムを作ることです。「ベードラ」と一般的に呼ばれている、足で鳴らす大きなドラムは、楽曲のリズムをつかさどる大きな役割があります。ベースは、基本的にそれと同様のリズムを奏でます。そのため、ベースのリズムが狂うと、全体的なリズムも狂います。ドラムを使わない演奏などの場合、特にその役割が重要になってきます。
 3つめは、楽曲の土台を作ることです。

  [ BASS=BASE ]
 私は授業で、ベースという楽器は曲の土台を作るもの、すなわち「BASS=BASE」であると教えています。前記の2つの役割を合わせたものと言えます。建築物の基礎、仲間同士のまとめ役と同じで、ベースのパートがあるからこそ、落ち着いた音楽として楽しめるのです。また、ベースというパートは、ベースギターがないと演奏できないわけではありません。ピアノの左手のパートや、ギターの低音弦の演奏方法などで代用できます。でも、低音のよい響きを出したいのであれば、やはりバンドでのベースギターは欠かせない楽器のひとつですね。

  [ たかがベース、されどベース ]
 音楽を始める人も作る人も、この「ベースの役割」が分かっていない人が多いようです。初心者であればなおさらなのですが、音楽を聴く側の人もまた同じです。今回は、とても難しいお話をしてしまいましたが、ベースの重要さをもっと理解して、音楽を楽しんでもらいたい、と私はいつも思っています。音楽は、華やかで目立つものが重要なのではなく、目立たないところで周りを支えているものこそが重要だったりするのです。これは人間も同じですよね。


 シーケンスデータを作成する上での私のこだわりは生楽器の表現であることは、以前から述べてきた通りです。そこで今回は、生楽器の息づかいをどうやれば表現できるのかをこのコーナーで少しお話しをしてみましょう。

『便利な機材たちB』
 「サックスのデータを作りたいんだけど、鍵盤を弾いたり打ち込んでみたりしても、なかなかニュアンスがでない。どうすればカッコよくできるのだろうか…」というあなた!こういう悩みも結構多いのですが、これもまた解決方法は2つあります。1つめは、サックスを代表とする管楽器のデータ入力のコツを勉強することです(授業で教えています!)。2つめは、ウインドコントローラを使うことです。Y社のWX5(写真)とA社のEWIが有名ですが、WX5は専用音源を必要としない、とても便利な楽器です。
 システムは、ウインドコントローラを吹くことで音源に対して圧力をかけ、リアルタイムで音量をコントロールするというもの(正しくはエクスプレッション)。すべてMIDIデータに置き換えられるので、そのままシーケンスデータの入力に使えます。ただし、サックスと同じタイプのキーがついているので指使いが問題になります。これにはちょっと練習が必要です。