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第9回 『音楽のジャンル@』 ― 日本の音楽のオリジナリティー ― |
[ 愛してる ≠ I love you ] 曲を作っていくうちに、「○○風にしよう」なんて思ってアレンジをする場合は、必ずその音楽ジャンルの、なにかしらの要素を取り入れていますよね。これは音楽に限ったことではなく、絵を描いている人も、文章を書いている人も、ある部分でその手法を使ったりしていると思います。この手法は、自分自身の表現方法が固まりつつあり、そこから脱皮しようとする時などにもよく見られることです。ことに芸術的なものは、その人の持つ感性を『様々な方法で具体的に表現しようとする動き』ですので、すなわちそれは人と話すこと、つまり、人それぞれの言葉遣い、また言語の種類があることと同じなのです。歌でも、「愛してるよー」と歌った方がいいか、「I love you」と歌った方がいいかで、その歌を聴いた感じ方が違いますよね。それと同様に、どう聴かせるかを考え、その表現方法のひとつとして様々な『音楽のジャンル』が存在している訳です。 [ 英語が話したい = ロックがしたい ] 日本人が「英語を話せるようになりたい」と思うのは、まずコミュニケーションの範囲が広がることを考えているはずです。単に「英語が話せるとカッコいい」というのもありますが、でも、最終的には外国人とコミュニケーションをとっていたりするわけですから同じでしょう。「ロックがやりたい」と思うことはそれと同じことで、最初は「カッコいいから」、最後は「世界で通用する音楽を」なんてことになるわけです。 音楽ジャンルは言語と同じく、その国、その土地であったからこそ発展してきたものなのです。日本古来の音楽としては、宮廷音楽としての雅楽、民衆の民謡などがあり、現代では演歌、歌謡曲などがあります。これらを西洋音楽のクラシックやジャズ、ロックと比べて野暮ったく思うのでしょう。しかし、ロックのつもりがメロディーだけ聴くとド演歌でもいけそうな曲もあります。つまりこれが日本人である証拠なのです。 [ 音階に違いが? ] 理論的に説明すると、あながちそうとも言い切れない部分もあるのです。音楽を多少やっている人なら、「ペンタトニックスケール」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。ちょっと難しいのですが、これはある調、例えばハ長調の始まりの音(これを主音=トニックと言う)は「ド」で、その音から始まる5つの音(=ペンタ)の音階(=スケール)のことで、「5音音階」という意味なのです。この音階は、各国の古くからの民謡で使われてきた音階で、使われ方により何種類かあります。その中でも、現代の音楽でもよく使われているものに、半音関係の部分を含まない「ドレミソラ」の5音音階があります。日本の音楽にもこの音階は存在しているのです。試しに、ピアノなどの鍵盤の黒鍵のみを使い、ファのシャープから順に弾いてみて下さい。サブちゃんの「函館の女」が弾けます。明るいタイプの演歌なら、この鍵盤だけで結構弾ける曲があるのです。問題は、それら同じ音階なのに、なぜ日本の音楽だと分かってしまうのでしょう。 日本古来の楽器として三味線や尺八などがありますが、典型例として笛楽器を思い出して下さい。尺八や横笛の穴は5つです。では西洋の楽器ではどうでしょう。ギターや、笛楽器のフルートなど、半音を発音させる構造がとられています。つまり、西洋音楽は音階のすき間の半音部分をうまく効果的に使っていたのです。こういった音楽環境の違いが、日本人の持つ音楽感性との違いを生んでいるのでしょう。 [ リズムにも? ] 音階だけでなく、リズムにもその違いがあります。日本の民謡で手拍子をする時、たいてい1拍目と3拍目(これらをオモテ拍と言います)です。しかし西洋的音楽では、それではリズムがとれない(リズムにのれない)曲が多々あります。そういう場合はたいてい、リズムにのるタイミング(=アクセント)がウラにある(これをウラ拍と言います)からです。ウラのりとはオモテのりの1拍後ろにアクセントがくるもので、このノリは日本古来にはないリズムです。 リズムはメロディーとは違い、体で感じ、身についていくものです。クラシックに『ミュンヘナー・ワルツ』というリズムがあるのですが、このリズム感を体得するには「ミュンヘンに行け!」と言われています。ミュージシャンがアメリカに行くのは何もカッコをつけるためではなく、あるジャンルのリズムを肌で感じとり、より本物の音楽が作れるようになるために行くのです。 [ ジャパニーズロック ] 育った環境が違うなら真のロックはできないのでしょうか? そんなことはありません。西洋人との体格差を考えると、運動能力的に劣る部分もありますが、感性、感覚といった精神部分での差はありません。ならば、日本人だからこそできるものを考えればいいのです。サディスティック・ミカ・バンドやYMO、坂本龍一、フラワー・トラベリング・バンド、坂本九…などがなぜ世界で受け入れられたのかを考えてみましょう。まずはCDを聴くことから…。 |
『便利な機材たちD』 |
私もネットをやっているひとりで、メールのやりとりなども頻繁にしています。例えば、体験入学に参加された方には私のアドレスをお教えして、メール交換などもしています。その中で、音楽面や機材面での質問もあります。そこで今回は、Oguraさんのご質問にこのコーナーでお答えしたいと思います。 『R社のSK-88proを使っています。そろそろ他の音源を購入しようと思っているのですが、なにかお薦めはないでしょうか?』 コンピュータ・ミュージック(あるいはDTM)をしている人は、たいていR社のSC-88proクラスかY社のMU-100クラスの音源を使用していると思います。「2台目の音源を」と考える場合、基本はその上位機種にするか、表現の幅を広げるために他社の音源にするかのどちらかです。もしくは、いわゆるDTM音源ではなく、シンセモジュールと言われる音源を購入することです。 DTM音源とシンセモジュールとの大きな違いは、音色を根本から思い通りに作れるかどうかです。DTM音源は、手軽にそれなりのいい音を提供するために、ピアノが10数種類、ブラスが20数種類、など、合計で1000を越える音色が入っています。ただし、明るい音にしてみたり、丸い音にしてみたりと多少のエディットはできますが、シンセサイザーのように積極的な音作りができるほどのパラメーターを持っていません。その点シンセモジュールは、「シンセサイザーの音源」ですので、シンセサイザーと同様の音作りができます。 2台目に他社のDTM音源を購入しても、いつかはきっとシンセモジュール、あるいはシンセサイザーを購入することになるでしょう。音楽をつくる時、音も作りたくなってくるものですから。 |
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