![]() ![]() TOP No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 No.7 No.8 No.9 No.10 No.11 No.12 ![]() |
第12回 『DTMで陥りやすいミスA』 ― データ入力 <楽器表現編>― |
[ コンピュータって? ] 一般的に『DTM』と言われるコンピュータ・ミュージックですが、私の中では『DTM』と『コンピュータ・ミュージック』に多少の違いがあります。ちょっと極端な表現をしますが、私は「コンピュータで作った音楽を鳴らすだけ」というのを『コンピュータ・ミュージック』、それに「楽器の表現や表情を加えよう」とするものを『DTM』と大別しています。またDTMも「打ち込み中心」のものを『プログラミング』、「より音楽的」であれば『レコーディング』として捉えています。 私自身は幼少の頃からピアノを習い、中学時代には部活でトランペットを、その他ギター、ベース、ドラム、シンセサイザーなどを独学で……と、楽器の演奏に重きを置いていました。高校時代にはMTRによる多重録音をしていましたので、後になってシーケンサーやコンピュータを使い始めてからも、楽器を演奏してデータ入力するリアルタイム入力にこだわっています。つまり私にとってコンピュータやシーケンサーは、単なる録音機材なのです。 ただ、このような方ばかりがDTMをしているわけではなく、どちらかと言えば楽器演奏ができない方のほうが、このDTMにハマっているケースが多いようです。それは、楽器が弾けなくても音楽が創れる楽しみがそこにあるからですよね。 [ 楽器が弾けなくても ] 楽器が弾けなくても音楽が創れることで、DTM人口は小学生からお年寄りまで幅広くなってきています。その理由は、自動アレンジ機能を持ったソフトや、作曲・作詞支援機能を持ったソフトなど、音楽制作そのものに触れたことのない方でも簡単に曲作りが楽しめるようなものまで販売しているからです。もっと身近なものは、携帯電話の着メロです。これもシーケンスデータの打ち込みと何ら変わりはありません。 ただ、この状況で制作したものは、音楽的に見ると不充分なのです。音楽にはある種の感情表現が必要なので、これだけでは人間的な感情を表現するまでには至らないのです。 [ 楽器が弾けたら ] 楽器、特にピアノなどの鍵盤楽器が弾ける方であれば、なるべく自分で演奏することを心掛けてほしいですね。そうすることで、自分自身の感情をよりリアルに表現することができ、自分らしい音楽を奏でることができるのです。 ギターが弾ける方であれば、いつもどの様にギターを弾いているかを気にしながらデータ作成をしてみましょう。鍵盤で入力していると、ギターらしさを忘れてしまいがちなのです。これについては次号で詳しくご説明しましょう。 [ 楽器が分かれば ] 演奏したことのない楽器でも、その楽器の特徴を知ることで、よりリアリティのある音楽表現が可能となります。例えばその楽器の演奏方法、音域などについて、それを知っている人に聞いたり、あるいは実際に演奏しているのを見たり、とにかく研究することが大切です。鍵盤を演奏してトランペットの音がする生楽器なんて、世の中にはありませんからね。 |
『便利な機材たちG』 |
本文中にも書きましたが、私はコンピュータで音楽制作をするようになる以前は、テープに自分の演奏を録音し、さまざまな楽器の演奏を重ねる方法で曲を作っていました。このような方法を「多重録音」といい、それに使うテープレコーダーを「MTR」といいます。 「MTR」とは「Most Track Recorder」の略で、録音する場所(トラック)が、普通のテープレコーダーよりも多い機材の総称です。ちなみに普通のカセットテープの場合、録音されるのは左の音と右の音の合計2つですよね。で、A面とB面があるので、4つあることになります。このタイプのことを「2トラック4チャンネル」といいます。これよりも多く録音する場所があれば、それは「MTR」なわけです。 さて、コンピュータやデジタル機器が身近になってきている今日、それ以前にあった苦労など感じることなく音楽が創れるようになりました。『それ以前』とは……。例えば、シンセサイザーから生のピアノや生のドラムの音なんて出るはずもない、コンピュータも高価でWindowsなんて影も形もなかった頃です。この時代に音楽を作るには、どうしても演奏を録音しなければ不可能だったのです。といっても、これが一五年ほど前のことなのですよ。 では、どんな機材を使っていたのでしょう。代表的なものとして、T社の144というMTRがあります。これは自宅録音派にとって画期的なものでした。というのも、それが発売されるまではカセットテープで多重録音できる機材がなかったのです。オープンリールテープ(分かりますか?)を使ったもので、しかも高価でなかなか買えなかったのですが、なんとか手の届く範囲で購入できる価格で発売され、ヒット商品となりました。続けて、イコライザー部を強力にして発売されたのが244というモデルです。この頃から自宅録音にハマる人が爆発的に増え、オリジナル曲を作る時やテープオーディション用にデモテープ作りにと勤しんでいました。 これって、結局今と変わりないんですよね。ただアナログだったものがデジタルになっただけのことで、本質的には何も変わらないのです。 |
![]() ![]() |